ノウアスフィア
ヴェルナツキーの理論では、地圏(無生物の物質)そして生物圏(生物の生命)に次ぐ、地球の連続した3番目の発達相がノウアスフィアである。生命の出現が地圏を根本的に変えたように、人類に認識力が備わった事が生物圏を根本的に変えているという。ガイア理論者またはサイバースペース推進者の概念とは対照的に、ヴェルナツキーのノウアスフィアは人類が(核過程の習得を経て)元素の核変換を通じて資源を創出しはじめた時点で出現する。それは現在、地球意識計画の一環としても研究されている テイヤールは、複雑性や意識の増加という軸に沿って進化の方向性を認識した。テイヤールにとって、ノウアスフィアは複雑性や意識における成長の結果として進化を通して出現した地球を取り巻く思考の球である。したがってノウアスフィアは、重圏(バリスフェア)、岩圏(リソスフェア)、水圏(ヒドロスフィア)、大気圏、生物圏と同じくらい自然の一部だという。その結果、テイヤールは「社会現象を生物学的現象の衰退ではなく極致だと」見なしている。例えば、法律、教育、宗教、研究、産業、技術体系を含むこれらの社会現象がノウアスフィアの一部である。この意味で、ノウアスフィアは人間の心の相互作用を介して顕現し、構築される。それゆえノウアスフィアは人類が地球に住むにあたってそれ自体と関連する人間集団の組織化と歩調を合わせて成長するという 。テイヤールは、ノウアスフィアがさらに大きな個人化、個別化、統合に向けて進化していくと主張した。彼はキリスト教の愛の概念を心の進化こと「ヌージェネシス(noogenesis)」の主な原動力だと見なした。進化論は、彼がキリストの終末論的再臨と同一視したオメガポイント(思考や意識の頂点)で最高潮に達することになるという。 エモいmtane0412.icon
人類補完計画みがあるmtane0412.icon
ノウアスフィアという概念本来の特徴の1つは進化を扱っている。アンリ・ベルクソンとその著書『創造的進化』は、進化論が「創造的」であるもダーウィンの自然淘汰だけで説明できるとは限らないと提唱した最初の一人である(要出典)。ベルクソンによると、創造的進化は命を活気づけ心と体を根本的に繋ぐ不断の生命力によって維持されるとの事で、これはルネ・デカルトの二元論に反対する思想である。 1923年、C.ロイド・モーガンはこの研究をさらに進め、複雑性の増大(心の進化を含む)を説明できる「創発的進化」について詳述した。モーガンは、生物における最も興味深い変化の多くが過去の進化と概ね連続性が無いことを発見した。であるのなら、これらの生物は自然淘汰の段階的プロセスを経て進化したとは限らない。むしろ進化を遂げるプロセスは複雑性が飛びぬける(内省世界やノウアスフィアの出現など)ことになる、と彼はある種の断続平衡説を唱えた。 最後に、人間文化(特に言語)の複雑化は、文化的進化が生物学的進化よりも急速に発生するという進化速度を助長したという。近年における人間の生態系および生物圏への人類の影響の理解が、持続可能性の概念と「共進化」との関連や、文化的進化と生物学的進化との調和をもたらしている。