ニコチン
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ニコチン - Wikipedia
ニコチン(nicotine)とは、植物塩基(アルカロイド)の1つ。主にタバコ(Nicotiana tabacum)の葉に含まれる。揮発性の無色の油状液体。生体に対し非常に強い依存性を有し、たばこの喫煙によるニコチン依存症が公衆衛生上の大きな問題となっている。
ニコチンは、昆虫に食べられることを抑制するために、タバコ植物が作り出す毒物である。ナス・トマト・じゃがいもなどのナス科の植物ではしばしば見られる物質であるが、タバコ以外の種ではその量は非常に少ない。
名称は、1550年にタバコ種をパリに持ち帰ったフランスの駐ポルトガル特命全権大使ジャン・ニコに由来する。
ニコチンは、骨格筋および脳に存在するニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニストとして振る舞う。主に脳内の受容体に対し結合し、神経伝達物質(ドーパミン、アドレナリン、β-エンドルフィン)の放出が促進される。
ニコチンによるこれらはアロステリックに作用する。例えば少量の摂取であれば興奮作用が生じるが、摂取量が増えるに連れて鎮静作用が現れる。この現象は"ネスビット・パラドックス"として古くから知られている。
神経伝達物質の濃度が上昇することにより、次のような作用が現れる。
中枢神経系
報酬系の刺激
腹側被蓋野(Ventral Tegmental Area: VTA)にあるα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、ドーパミン、β-エンドルフィンを放出する。それにより多幸感が生じる。これは一般に報酬系と呼ばれ、依存症を形成する。
認知能力の向上
41件の二重盲検研究を使用したメタアナリシスにおいて認知能力を向上させる作用があると結論付けられている。また脳血流の増加が確認された。
交感神経系
副腎髄質に作用し、アドレナリンの分泌を促進する。その結果血圧、血糖値の上昇、発汗などの現象が起こる
遺伝子発現
ニコチンは代謝酵素であるシトクロムP450ファミリーの発現を誘導する。このためたばこの喫煙者はシトクロムP450で代謝される薬の効きが悪くなり、治療効果が得にくくなることがある。