アクティブ・ラーニング
アクティブ・ラーニング導入の実践的課題
ただし、アクティブ・ラーニングという用語は包括的な概念
実際にそれは
「PBL(Problem/ProjectBasedLearning)」 などと、扱う力点の違いによってさまざまに呼ばれている
アクティブラーニング(最広義)
課題探求型アクティブ・ラーニング
主として自由テーマによる調べ学習で、最後の結論は学生の学習内容に依存する、いわゆるアウトプット型の学習である。 学部専門科目としてアクティブ・ラーニングが導入される場合には、探求テーマを専門学部の内容と関連させてあらかじめ設定することが多いが、それでも最終的な具体的探求テーマは学生グループにまかされることがほとんどである。その意味ではテーマ設定は全般的に制限がゆるやかである。
もっとも、ロボット製作に見られる工学系学部の創成型科目のなかにも課題探求型の授業は見られるが、それを自由探求をしていいといっても、最終的な成果には専門的な評価が加えられることが多い。人文社会系の課題探求学習についても、この点は同様である。
課題解決型アクティブ・ラーニング
他方、課題解決型のアクティブ・ラーニングは、工学系や医学系学部のPBLに代表されるように、受講学生に課される課題のもと学習を展開させる、いわゆるアウトカム型の学習である。 探求や広がりに多様性はあっていいが、あらかじめ大まかな学習内容が設定されていて、最後はそこに帰着するように考えられていることが多いという点で、課題探求型と区別されるべき要点がある。
それぞれで検討されていること
https://gyazo.com/67160d7dd3592c48866de930b368e89e
https://gyazo.com/e6a281d0d668b78e8bc02d7b41370002
3つのことが言える
1. 報告の数としては決して多いと言えないものの、講義型授業でのアクティブ・ラーニングが導入されている事実
ここでおさえておきたいのは、ポストモダンの教育観が世の中で主唱されるなかでも、依然と旧来型の知識伝達型授業の改善・開発は積極的になされているということ 2. 演習型授業における課題解決型のアクティブ・ラーニングが、予想していたよりは広くおこなわれていること
3. 学生のアクティブ・ラーニングを導入する授業実践の検討は、主としてアクティブ・ラーニングの内容とその質を高めることの2種類に分別されること
他者の視点をより豊かに導入して自身の思考を相対化させる「他者の視点強化」
「授業外サポート」「カリキュラム・サポート」という視点で、講義型授業での学習を補完するサポート・システムが際だって見られた。
前者の授業外サポートの例
演習問題などを盛り込んだ自学自習型のe-learningシステムを開発して、それを知識伝達型の講義と組み合わせることで授業内学習と授業外学習とのバランスをはかろうとする事例が挙げられる(ex.小松川、2005)。
後者のカリキュラム・サポートの例
医学系学部の早期病院実習(アーリー・エクスポージャーearlyexposure)がこの視点に合致する事例として有名
工学系学部のガソリン機関の分解・組立実習
教員養成系学部で附属学校でのボランティア活動体験を単位化することで理論と実践を橋渡ししようとするもの(玉井、2005)
英語学習寮や海外留学、留学生の交流などの体験学習と英語教育とを関連づけておこなうもの(堀江、2005;加藤ほか、2005)
こでは、既存の実習の学習年限をはやめたり、あるいはある種類の実習を導入したりすることで、そこでのアクティブ・ラーニングが他の専門基礎科目の学習への連関をつくると期待されている。
演習型授業におけるアクティブ・ラーニングでは、学習の質を高める工夫が少なくとも4次元で展開していることが明らかにされた
「高次の学習法」は、アクティブ・ラーニングのプロセスに対応する各種方法論のこと
問題発見・発想法、思考の整理法、要約の仕方、論・ストーリー構成の方法など
しかし、ここで取り上げているのは、そうした学習プロセスにおける学生たちの作業一つ一つの質を丁寧にチェック・検討し、より高次の学習法を教えていくものである
「他者の視点強化」「授業外サポート」「カリキュラム・サポート」は講義型授業においても見られた工夫
授業外サポートの事例としては、電子掲示板やブログなどのオンライン上のメディア・ツールによる支援を別として、たとえば金沢工業大学に見られるような学習支援センターとの連携・組織化が挙げられる 金沢工業大学は数学関係で調べ物するとかなりヒットするmtane0412.icon
演習型授業でアクティブ・ラーニングを学生にしっかりとさせていくためには、学生が独力で学び課題探求・課題解決していくことのできる学習スキルが必要である。
実際には、学生のレヴェルや授業時間数、授業の到達目標などに応じて、取捨選択されるのだろう。
しかしながら、他方で問題となるのは基礎知識をもととする内容(コンテンツ)である。
学習スキルは教員さえ問題意識をもてば一授業内で教授学習可能であるが、学習の質を内容という観点で高めようとすれば、一授業、一教員の範囲を簡単に越えてしまうことが一般的である。
前節で紹介した香川大学教育学部の事例は、それをカリキュラムの再組織化というかたちで克服したものであった。
例えば、実際にやってみて考える、意見を出し合って考える、わかりやすく情報をまとめ直す、応用問題を解く、などいろいろな活動を介してより深くわかるようになることや、よりうまくできるようになることを目指すものです
振り返ってみれば、効果的な学習というのは、多くの場合実際の活動や互いのやりとりを介して生じています。
したがってアクティブ・ラーニングとは、我々が既によく知っている効果的な学習形態を教室に持ち込んだものと言うことができます。
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全体として「7つの原則」に現れているのは、学生をマスとみて対峙するのではなく、個々人に関心を寄せて伴走する教員の姿です。ただし、米国ではTAがかなり授業に深く関わって学生をサポートしますから、この点では日本の教員にはハンディがあります。
それに合わせ、教員と学生のコンタクトや学習課題への迅速なフィードバック、学習時間の確保などをサポートする学習管理システム(LMS)の整備も求められるでしょう。 なるほど、授業の質を高める仕組みとしてLMSが求められている