ウィルコクソンの符号付き順位検定
対応のある2標本の母平均を比較する
帰無仮説
$ H_0: \delta=0
$ \delta=\mu_1-\mu_2
$ \muは母平均
対応のある$ n組のデータ$ (x_1,y_1),(x_2,y_2),\cdots,(x_n,y_n)の各組の差$ d_i=x_i-y_i
$ d_iが$ \deltaを中心とした連続で対象な分布に従うとした時、第一標本と第二標本の位置が異なるかどうかを検定する
$ d_i=0になる$ x_i,y_iがあれば、それを除いて改めて標本数を$ nとする
検定方法
以下のように変数を設定する
$ R_i=|d_1|,|d_2|,\cdots,|d_n|における$ |d_i|の順位
$ R=\min(R^+,R^-)
$ R^+=\Sigma_{d_i\gt0}R_i: $ d_iが正の順位和
$ R^-=\Sigma_{d_i\lt0}R_i: $ d_iが負の順位和
$ H_0のもとでの$ Rの期待値と分散は、タイがない場合は以下で与えられる $ E(R)=\frac{n(n+1)}{4}=\mu
$ V(R)=\frac{n(n+1)(2n+1)}{24}=\delta^2
タイがある場合は、異なる値が$ g個で、$ j番目に小さい値は$ t_j個とすると
$ V(R)=\frac{1}{48}\{2n(n+1)(2n+1)-\Sigma_{j=1}^{g}(t^3_j-t_j)\}=\delta^2
$ n\ge30の場合、$ u_0=\frac{r^\ast-\mu}{\sigma}とおく
$ H_1:\delta\lt0のとき$ r^\astを$ r^+とし、$ u_0\le-z(\alpha)なら$ H_0を棄却する
$ H_1:\delta\gt0のとき$ r^\astを$ r^-とし、$ u_0\le-z(\alpha)なら$ H_0を棄却する
$ H_1:\delta\ne0のとき$ r^\astを$ rとし、$ |u_0|\ge z(\frac{\alpha}{2})なら$ H_0を棄却する
例
実習の前後のテスト結果により実習の効果を調べる
table:点数
前 35 68 40 80 65 55 45 78
後 50 75 60 76 92 43 56 88
前-後 -15 -7 -20 4 --27 12 -11 -10
順位 6 2 7 1 8 5 4 3
$ r^+=6, $ r^-=30
$ H_0: 実習の効果はない(差は0)
$ H_1: 自習の効果はある(前-後<0)
$ r^+=6は有意水準5%の値を数表で見ると、$ H_0は棄却される。
よって実習の効果は認められる