重婚
日本の民法では禁止されている
(重婚の禁止)第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
違反すると離婚できる
Aと結婚しているBがCと結婚する場合
Aにとっては
(裁判上の離婚)民法770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
GPT-4o.iconによると1,4に当たる可能性があるらしい
Cにとっては
第744条 ...民法732条...の規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
この法律は何を保護しているのか?
重婚罪とは? どのような場合に重婚罪が成立する? 弁護士が解説
明治維新以降、西欧に倣った法整備が進められ、明治15年には次のような重婚罪の規定(旧刑法354条)が新設されました。
「配偶者アル者重ネテ婚姻ヲ爲シタル時ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス」
明治初期までは跡取りの確保のために妻以外の妾との間にも子どもをもうける慣習があり、慣習を改めて一夫一妻制を徹底する趣旨であったといわれています。
日本に一夫一婦の考えがもたらされたのは江戸時代、キリスト教が伝来した時といわれます。キリスト教では貞操観念を重要視しており、婚姻の形態は一夫一婦が基本とされています。
こうしたいわゆる蓄妾制は明治時代に入ってからも続き、明治3年に制定された「新律綱領」では妻と妾を同等の二親等とすると定められたのです。これは妻であれ、妾であれ、女性の権利を同等に守るといった考えに基づいたものではなく、背景には家制度がありました。つまり、家を存続させるためには、妾も妻と同等の地位に押し上げ、跡取りを産んでもらおうという事情が潜んでいたのです。
明治時代に初代文部大臣を務めた森有礼は「妻妾論」で一夫一婦制や男女同権を説いたことでも知られています。彼は妻ツネと結婚する際に「契約結婚式」を行いました。この結婚式でふたりは福沢諭吉を証人とし、3か条にわたる婚姻の約束事を定めた契約書を交わしたのです。
このような世論もあり、刑法では明治13年に、戸籍法では明治19年に妾は姿を消すことになります。そして、明治31年に民法によって一夫一婦制が確立することとなります。これによって、それまで伝統的に側室を置いていた皇室でも一夫一婦主義をとるようになり、大正天皇以降は側室制度も廃止されました。こうして日本では一夫一婦制が当たり前となっていくのです。
一夫多妻制は日本にも存在した? 一夫一妻制が採用されるまでの歴史 [結婚式・披露宴の準備] All About
日本近代家族法史論
https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/record/23596/files/KU-1100-19640200-03.pdf
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf
19  婚姻関係事件数  申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所 令和2年度
多分令和2年度が最新。このあとは統計がとられていない?
table:婚姻関係事件数(申立ての動機別)
夫 妻 妻/夫ratio
総数 15500 43469 2.80
性格が合わない 9240 16304 1.76
異性関係 2132 6505 3.05
暴力を振るう 1454 8576 5.90
酒を飲み過ぎる 381 2618 6.87
性的不調和 1749 2808 1.61
浪費する 1883 4020 2.13
病気 571 660 1.16
table:婚姻関係事件数(その他の動機)
夫 妻 妻/夫ratio
精神的に虐待する 3159 10948 3.47
家庭を捨てて省みない 764 3013 3.94
家族親族と折り合いが悪い 1964 2647 1.35
同居に応じない 1359 722 0.53
生活費を渡さない 686 13235 19.29
その他 3173 4714 1.49
不詳 7 3361 480.14
https://www.dun-laoghaire.com/min770/
最高裁判所が公表していている令和3年度司法統計のデータでは、離婚原因のランキングは次のようになりました。
統計どこにあるの
重婚罪?|参議院法制局
なぜ、このような規定があるのでしょうか。妻子ある男性が妻以外の女性と暮らしていても、婚姻届を出して法律上の婚姻になっているのでなければ、このような夫婦関係、家庭生活を破壊する行為が罪にはならない。また、婚姻届を出さなければ何人の異性と結婚生活を営もうとも重婚罪にはならないのです。となると、この規定は何のためにあるのでしょうか。
法制審議会の刑法改正作業でも、この規定は検討課題になっていましたが、昭和49年の『改正刑法草案』ではこの規定を残すこととしています。「重婚の例としては、偽造の離婚届を提出したうえで新たな婚姻をする場合、外国に居住する者が領事への届出によって婚姻をする場合等があること、発生件数が少ないとしても、婚姻制度を乱す行為に対しては適正な規律維持の必要があることから、現行法の行き方を維持することとされた。」(『改正刑法草案説明書』)ということです。刑法学者の間では、重婚罪が成立する場合はほとんどないのであるから無意味であるということのほかに、形式的に婚姻制度を保護するために刑罰を設ける必要性があるのか疑問だという点からも重婚罪の必要性を疑問視する見解が少なくありません。また、事実上の重婚まで罰しようとすれば、刑法が男女の関係という個人の私生活にどこまで立ち入ることが許されるかという問題があるでしょう。
わが国における重婚に関する質問主意書 逢坂 誠二