組織に属する価値
インターネットはクリエイターの追い風だけど組織に属する価値もまだある
出版社不要論、編集者不要論、事務所不要論をわりとよくみかける。
これらの議論の前提となる流れとして、現在Webで個人で活動しているクリエイターの集金手段の多様化とWeb(特にTwitterやInstagram、Facebook等のSNSを根幹とするエコシステム)が宣伝媒体としてかなりの力を持つようになってきたという背景があると思う。
出版物のTwitterアカウントよりクリエイターのアカウントのフォロワーが多いなんていうのはザラ(フォロワーだけが指標ではないが手っ取り早く使える指標である)
このような中で、出版社も業態を変えつつあると感じる。
一方で、編集者や事務所の価値が存在している分野もある。自分の考えを整理しておきたい。
クリエイター視点の見方が個人としてはわかりやすいのでその方向で考えてみる
個人クリエイターの困りごとは、本業に集中したいのに、雑務が多いことだろう。
本業の例(集中したいこと)
作品づくり(共同作業を含む)
今後の企画を考える
技術投資
営業・マネタイズ
ここが好きなクリエイターもいるし、雑務と捉えるクリエイターもいる
雑務の例
daily
日々の生活
明日の料理何にする?
自分や家族が怪我をしてしまった
プライベートの対人関係
コミュニケーション不足や知識不足・業界慣習の不理解で金銭トラブルになる可能性もある
0.1%ぐらいの常識外の人に対する対応
1000人に1人ぐらいすごい人がいて、すごい時間を持っていかれるし精神的につらくなってしまう
monthly/weekly
自著や活動の宣伝
スケジュール管理
クライアントとの調整
企画
annual event
確定申告などの財務管理
保険などの見直し
宣伝は、売上に占める行動としてとても大きいために重要なのは異論はないだろう。ところで、日々の雑務も結構あるということがわかる。まず一つ雑務を巻き取ってくれる存在はクリエイターにとってありがたいだろう。また、金銭トラブルなど低確率だが遭遇するとやっかいな問題もできれば関わりたくないでしょう。
これらはネガティブなことから守るという観点ですが、ポジティブな面として保守的な大企業からも依頼を受けやすくなったり、大人数が関わるコラボ企画を進められたりするでしょう(調整役がいないと難しいようなもの)。
まとめると、
スケジュール調整などの雑務
多くの人が関わる企画
ファンとの中間に立ってヤバい時にストップをかけたり、トラブル時に相談できる
なお、ここが効率化されるまでには楽観的に見積もっても少なくともあと10年ぐらい必要になるというのが私の見立てです。トラブルを回避・対応する法務の知識などの專門知は専門家に頼むのがいいですし、組織的にバックアップできるフローがあるのは安心感があります。
ようなときには事務所(あるいはそのようなもの)の存在ありがたいでしょう。このあたりがクリエイターとファンの間に中間層を存在させるクリエイター視点の積極的な理由ではないでしょうか。
もう一つ、話は「コンテキストがよくわかっている人」と議論することによって整理でき、もっといいものになります。日常的に接して気軽に議論できる相手がいるのは良い環境だと思います。
UUUMの鎌田さんはUUUMとYouTuber(クリエイター)の関係を作家と編集者にたとえています。 他にも編集者からのアイデア出しを欲しがる方や、育成段階の新人の方などには提供できるメリットがあると思います。またエロではなく全年齢向けの作品となると、編集者の必要性は上がってくると思います。そもそも販路が同人より大きいですし、メディア展開、プロモーション時の交渉など役目が増えてくるので。
https://youtube.com/shorts/9wnmM9FZKVw?si=O6I6b80tFAiKlEYH