民主主義は多数決ではない(らしい)
日本でも政治学(有権者、公共)教育が重視されつつありますが、内容を点検すると、「教えてはならぬ」というほどではないにしても、取扱いを避ける「準タブー」のテーマが複数あります。
①日本を含む20世紀の政治が、独裁化した歴史(=民主主義が注意しないと崩壊することの警告)。
②民主主義は多数決だけではなく、言論の自由や、多元主義(複数の勢力の競争と均衡)を不可欠とすること。
③その複数勢力の立場の分類として、左と右、リベラルと保守などが重要であること。
*たとえば、高校の教科書を点検したり、明るい選挙推進協会の雑誌「Voters」の公民教育特集を、インターネットで読んでみてください。
①~③を教えないと、民主主義=多数決と誤解され、選挙で勝った政治家は民意に支持されたので何をしても良いという、ポピュリズムにつながります。「みんなで議論し投票に行きましょう」で終わってしまいます。 勝ったら何してもいいんじゃないの?(メディアで露出する政治家はそのように振る舞っている用に見える)基素.icon
同じレビュワーの違う本のレビュー
日本でも世界でも、(ときには多数決を根拠とする)政治権力の暴走が目立ち、それをどう抑えるかが課題です。
そのために必要なのは、
・日本近現代、ファシズム、社会主義を含む独裁政治の記憶の継承
・専制を防ぎ議論をするための、多元主義(pluralism)の概念 ・労働組合、市民運動などの多様な社会活動・勢力
・複数の政党がバランスを取るための、政治的立場の多元性(保守とリベラルなど)
・人々が政治に関心を持ち、ニュースを読み、少なくとも投票に行くこと
だというのは、政治学の常識で、執筆者の先生も大学では教えておられると思うのですが・・・
【注】現代の政治学では、民主主義には5つの条件が必要とされる。
①多数者の支配(多数決、リーダーシップ含む)、
デモクラシーの語源
②多元主義
欧米ではほぼ実現されているのであまり議論されず、しかし日本では自民党一強+右派ポピュリズム(維新)のもとで深刻な課題なのだが、欧米理論に依拠する日本の政治学者は注目してくれない傾向がある。
③寛容・共生
(②③は1つにまとめても良い)。
④直接参加
どういうこと?
③④⑤は欧米民主主義国でも課題なので研究が活発で、日本の学者も輸入してくれる
多数決だよという意見
@hazuma: まあ、つまり、民主主義というのは国民が決めるということなんだから、多数と違う意見をもち、多数こそ間違っていると思うならまずは多数の意見を地道に変えていくしかないということです。予想と違う結果が出てきたとき、安易にこれは民主主義ではないと叫ぶのはそれこそ民主主義ではない。 投票システムが多数決だからその意味で多数決なのは間違いない基素.icon