国交省、建設工事受注動態統計書き換え
今回の不正は、朝日新聞が昨年12月に報じて発覚。数カ月分の受注実績を合算し、1カ月分の受注実績かのようにするデータの無断書き換えが行われていた。計算ルールが変更された13~20年度の8年間は受注実績の二重計上が生じ、統計が過大になっていた。 二重計上とは別に、統計の計算の誤りがあったことも発覚。この誤りは統計の金額を下ぶれさせるもので、国交省は今回、この誤りの影響と二重計上の影響をふまえて計算を行った。
同統計は、国内総生産(GDP)の算出にも使われる「建設総合統計」のもとになっており、この統計の過大額は、年度ごとに0・1兆円~0・3兆円だった。国はGDPへの影響も調査するとしている。 二重計上のあった2013年度以降、受注高を年間で最大5兆円ほど過大に計上していた可能性があることが、国交省の検討会議の試算で分かった。
不正に関する国交省の特別監察では、統計部門において専門知識や情報共有が不足するなど組織的な欠陥も明らかになった
国交省は22年1月、統計の専門家らから成る検討会議を設置。二重計上など不正処理の影響を排除した遡及改定の検討に着手した。
しかし、国交省が過去の調査票の廃棄や書き換えをしていたため、建設会社が提出した元データを用いて遡及改定することは不可能だった。
そこで検討会は、調査票の書き換えが少なく、建設会社が提出した月も明らかで、二重計上など不正処理の影響をほぼ正確に把握できる20年度分のデータを基に試算した。
その結果、提出月とその前月を合算していた19年12月分から21年3月分までは、元請けと下請けを合わせた総受注高が年間で2兆8000億円(3.6%)過大となった。
同様に、提出月と前月、それ以前の月を合算していた13年4月分から19年11月分までの総受注高への影響を試算したところ、過大計上分は年間で5兆1000億円(6.6%)に上った。
ただ、GDPの算出に用いる建設総合統計への影響は、13年度分から20年度分でマイナス0.3%~プラス0.6%程度にとどまる。
検討会議では、建設受注統計に不正処理があったとしても、その影響は建設総合統計にはほとんど及ばないと分析。 GDPに占める建設分野の割合は1割程度で、建設総合統計の分はさらにその一部にすぎないことから、GDPに対する建設受注統計の不正処理の影響は軽微だとみている
GDPの1割のうち±0.5%ぐらいだからGDPへの影響は0.05%ぐらいか基素.icon
2022年1月14日 「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」より、国土交通大臣に報告書が提出
本委員会は、国交省において発生した不適切な統計処理事案を調査するために設置されたものであるが、今回の報告書では、同種事案が連続して発覚した各省庁の公的統計実務部門に横断的に存在すると考えられる原因をも明示し、提言を示している。
最後に、統計分析審査官について触れておきたい。令和元年に統計分析審査官が内閣官房から各府省に派遣されることとなった。今後公表される統計の審査の徹底と誤り発覚時の対応指揮等を担うポストであるとされているが、現段階で機能しているとは思われない。それまでに統計の業務に就いたこともなく、統計に関する専門的知識も皆無であった職員が、十分な研修を受けることもなく、係長相当の職位で派遣されたとしても、この者に、派遣先の上司に対して厳しく指摘することを期待すること自体不可能を強いるものであろう。 参考:「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」委員名簿
委員長 寺𦚰 一峰(弁護士 元大阪高検検事長)
委員長代理 舟岡 史雄(信州大学名誉教授)
委員(事務局長) 岸 秀光(弁護士 元名古屋地検特別捜査部長)
委員 池田 順一(弁護士 長島・大野・常松法律事務所)
委員 国友 直人(東京大学名誉教授)
委員 西郷 浩 (早稲田大学政治経済学術院教授)
委員 白石 俊輔(弁護士 元東京地方検察庁検事)
委員 中城 重光(弁護士 中城・山之内法律事務所)
委員 山下 智志(統計数理研究所副所長)
委員 和田 希志子(弁護士 ふじ合同法律事務所 第一東京弁護士会副会長)
事務局長補佐 川崎 玉恵(東京理科大学理学部第一部特別講師)
事務局長補佐 和氣 礎 (弁護士 桃尾・松尾・難波法律事務所)
建設業の受注実態を表す国の基幹統計の調査で、国土交通省が建設業者から提出された受注実績のデータを無断で書き換えていたことがわかった。回収を担う都道府県に書き換えさせるなどし、公表した統計には同じ業者の受注実績を「二重計上」したものが含まれていた。建設業の受注状況が8年前から実態より過大になっており、統計法違反に当たる恐れがある。 調査は、全国の業者から約1万2千社を抽出し、受注実績の報告を国交省が毎月受けて集計、公表する。
2020年度は総額79兆5988億円。
影響
国内総生産(GDP)の算出に使われ、国交省の担当者は「理論上、上ぶれしていた可能性がある」としている。
月例経済報告や中小企業支援などの基礎資料にもなっている。
程度は?
どのように改ざんした?
基幹統計のデータ書き換えは、国の指示を受けた都道府県の職員らの手で行われていた。建設業者が鉛筆で書いてきた受注実績を、消しゴムで消して書き換えていた。(柴田秀並、浦野直樹、伊藤嘉孝)
国土交通省が都道府県の「建設工事受注動態統計」の担当者向けに配布した資料には、同省の指示がこう記されていた。朝日新聞はこの資料を入手した。
データは「調査票」の形で都道府県を通じて事業者から集めていますが、期限までに提出がなかった事業者についても、受注実績をゼロとはせず推計の受注額を計上しています。
しかし、事業者から期限に遅れて調査票が提出された際、都道府県の統計の担当者に翌月以降に合算して最新の1か月だけで受注したように調査票を書き換えることを指示していたということです。
その結果、推計値と過去の実績のデータの二重計上が発生したということです。
つまり、遅れた分について二重計上される
最大12+11でほぼ2倍になる
書き換え自体のインパクトは書き換えの頻度とタイミング次第となる。したがって、書き換えの件数が1万件程度と報道されているが、具体的な書き換えの内容が一件一件わからないと、定量的な影響はわかるはずがないのである。
どれぐらい遅れるものなのだろう
二重計上された事業者の数は、全体の1割程度とみられるということです。
なぜ改ざんした?
不適切な統計処理ではなく生データの改竄
このような処理がされると、その統計は何も信用できない基素.icon
なぜバレた?
同省が2020年1月までに会計検査院の調査を受けたため、データの回収を担う都道府県に書き換え作業をやめさせ、同省本省の職員が自ら書き換えを行っていたことがわかった。 同省は「(当時の担当者は受注実績が)いきなり大きく減ると、数字に大きな影響が出ると思ったのではないか」などと説明している。
大きな影響が出るとなぜダメなのか?
斉藤国交相は19年11月ごろに検査院から改善を求められ、それを踏まえて20年1月に集計方法を見直したが、21年3月までは従来の作業も並行していたと説明。
理由として「統計学的な必要性」を挙げ、「19年度と20年度の間に大きな断絶があれば比較できなくなると釈明した。
影響は?
山際大志郎経済財政担当相が「間接的にGDP統計にも影響が及ぶ可能性はあるが、現時点では軽微と考えている」と述べた。
根拠は?基素.icon
首相は「昨年1月に改善した」ことを理由に2020年度、21年度の「GDP(国内総生産)の統計には直接影響はない」と主張。補正予算案についての審議を進めるよう求めた。
保存期間は2年なので廃棄している
検証可能なのは19,20年度のみか
GDPの3割を占める設備投資の10%に関係すると言う主張
ソースは?基素.icon
建設統計は設備投資の額とイコールなの?
二重計上された事業者の数は、全体の1割程度とみられるということです。
本当だとすると100%以上の改ざんがあればGDPの3%程度が変動する
でもそこまで大胆じゃないだろうから0.1%とかじゃないかな?(根拠のない予想)
と思ったけど二重計上しているので最大数%も変わる。そんなに?まじで?
批判
アベノミクス初年度(第二次安倍内閣)から退陣までの期間なのでアベノミクスのGDP水増しである 国会答弁がネタになってる
福田康夫.icon
例えば2021年、国土交通省の建設工事受注動態統計の数字を担当官が業者に無断で勝手に数字を書き換えていた不正が発覚しました。厚生労働省の毎月勤労統計などでも不正がありました。よその国に「統計がいい加減だ」とケチをつける人がいますが、日本はそんなこと言えますか。実に恥ずかしいことです。