問いのデザイン
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2020/6/4
さまざまな人たちを対象に「問い」を投げかけ続けてきた 「わかったつもりになっている子どもたちに、もっと自分の頭で考えさせるにはどうすればいいか」
「地域の若者と高齢者の交流を促して、一致団結させるにはどうすればいいか」
「社員たちに、組織の課題を自分ごとで考えてもらうにはどうすればいいか」 「技術の話ばかり繰り返すエンジニアに、革新的なアイデアを発想させるにはどうすればいいか」など…。
筆者らは、これらの悩みに対する直接の「答え」は持っていません。ですから、いつもやることは、依頼した当事者たちに向き合って、自分たちの素朴な疑問を出発点に「本当にそれが解くべき課題なのだろうか?」と疑いながら、共に考えるべきテーマを設定し、「問いかける」こと、それだけです
突き詰めると、2つのことが原因になることが多い
効率化のために必要
認識の固定化とは、当事者に暗黙のうちに形成された認識(前提となっているものの見方・固定観念)によって、物事の深い理解や、創造的な発想が阻害されている状態
「慣れた」というのはこれを行っている
明示的な役割分担
暗黙的な心理的契約(Psychological Contract)
例:「大きな問題がなければ定年まで働けるから転職は意識しなくていいだろう」
例:いつも相談役になっていた相手に、プライベートな悩みを打ち明けるのは照れくさい
固定化すると、「あの人とはわかりあえない」となる
関係や認識が固定化すると、課題解決の方向性が誤ってしまう
100年の歴史がある
日本では20年
レクリエーションや自己目的化したルーティンという批判がある
良いワークショップは問いのデザインがいい
問いのデザインは体系化が難しい
思考・感情・コミュニケーションがからむ複雑な領域
研究成果と経験に基づいて補助線を提示する
本書のステップ
I 問いの定義、デザインの全体像
II 複雑な問題の本質を捉え、解くべき問題を設定する方法論
問題と課題の違い
問題の捉え方
課題を定義する手順
III 定義した課題に従い、関係者を巻き込んで創造的対話を通して解決する方法論
ワークショップの設計
ファシリテーションの技術・心構え
実際のプロジェクト
p.21
基素.icon
問い(目標)が同じなら同じ結論が出そう
参加者が持つ情報は平均化すればどの集団も変わらなそう
素人10人と専門家10人なら変わるが
素人10人と素人10人なら変わらないだろうし
専門家10人と専門家10人なら平均的に大きく変わらないだろう
A社とB社の発想に大した違いは出ないだろう
論理はもっと変わらない
移動するものが馬しかないという知識があり、早く移動するには?という問いがあると、速い馬が欲しいと考える 具体的なイメージが沸かないのでIVから読む
目次
序論 なぜ今、問いのデザインなのか
1. はじめに
2. 「認識」と「関係性」の固定化の病い
3. 企業、学校、地域を揺さぶる問いの技法
4. 本書の構成:課題とプロセスのデザイン
PartⅠ 問いのデザインの全体像
1章 問いのデザインとは何か
1.1.[問いとは何か
問いの基本性質を探る
問いかけによって刺激される思考と感情
1.2. 創造的対話とは何か
問いが誘発するコミュニケーションタイプ
対話によって揺さぶられる個人の認識
共通の意味づけを探るなかで、関係性が編み直される
新たなアイデアを創発する創造的対話
問いは新たな問いを生みだす
1.3. 基本サイクルとデザイン手順
問いの基本サイクル
問いのデザインの手順
PartⅡ 課題のデザイン:問題の本質を捉え、解くべき課題を定める
2章 問題を捉え直す考え方
2.1. 問題と課題の違い
問題とは何か?
洞察問題の解決を阻む固定観念
当事者の認識によって、問題の解釈は変化する
関係者の視点から問題を捉え直す
問題と課題の違い
2.2. 課題設定の罠
課題設定の罠(1)自分本位
課題設定の罠(2)自己目的化
課題設定の罠(3)ネガティブ・他責
課題設定の罠(5)壮大
2.3. 問題を捉える思考法
問題を捉える思考法(1)素朴思考
問題を捉える思考法(2)天邪鬼思考
問題を捉える思考法(3)道具思考
問題を捉える思考法(4)構造化思考
問題を捉える思考法(5)哲学的思考
3.1. 目標を整理する
3章 課題を定義する手順
課題を定義する手順
STEP1:要件の確認
STEP2:目標の精緻化
STEP3:阻害要因の検討
STEP4:目標の再設定
3.3. 課題を定義する
STEP5:課題の定義
PartⅢ プロセスのデザイン:問いを投げかけ、創造的対話を促進する
4章 ワークショップのデザイン
4.1. ワークショップデザインとは何か
現代社会とワークショップ
ワークショップの本質的特徴
なぜ、ブレストからアイデアが生まれないのか?
ワークショップデザインにおける問いの重要性
ワークショップとは経験のプロセスをデザインすること
プログラムの基本構造
4.2. ワークショップの問いをデザインする
ワークショップの問いをデザインする手順
手順(1)課題解決に必要な経験のプロセスを検討する
手順(2)経験に対応した問いのセットを作成する
手順(3)足場の問いを組み合わせてプログラムを構成する
プログラムのタイムテーブルの調整
4.3. 問いの評価方法
ワークショップにおける良い問いとは何か
問いの「深さ」を設定する
問いを因数分解する
5.1. ファシリテーションの定義と実態
ファシリテーションとは何か
ファシリテーションはなぜ難しいのか?
ファシリテーションを妨げる六つの要因
プログラムデザインとファシリテーションの補完関係
ファシリテーターの本当の役割とは何か
5.2. ファシリテーターのコアスキル
ファシリテーターのコアスキルとは
コアスキル(1)説明力
コアスキル(2)場の観察力
コアスキル(3)即興力
コアスキル(4)情報編集力
コアスキル(5)リフレーミング力
コアスキル(6)場のホールド力
5.3. ファシリテーターの芸風
ファシリテーターの芸風とは何か
芸風(1)場に対するコミュニケーションスタンス
芸風(2)場を握り、変化を起こすための武器
芸風(3)学習と創造の場づくりに関する信念
5.4. 対話を深めるファシリテーションの技術
「導入」のファシリテーション
「知る活動」のファシリテーション
「創る活動」のファシリテーション
「まとめ」のファシリテーション
5.5. ファシリテーションの効果を高める工夫
4タイプの即興の問いかけを駆使する
チームによるファシリテーション
組織内のファシリテーターを育てる
空間のレイアウトの工夫
対話を可視化するグラフィックレコーディング
ファシリテーションの技術を磨き続けるために
PartⅣ 問いのデザインの事例
6章 企業、地域、学校の課題を解決する
ケース1 組織ビジョンの社員への浸透:資生堂
ケース2 オフィス家具のイノベーション:インスメタル
ケース3 三浦半島の観光コンセプトの再定義:京浜急行電鉄
ケース4 生徒と先生で考える理想の授業づくり:関西の中高生とナレッジキャピタル
ケース5 ノーベル平和賞受賞者と高校生の対話の場づくり:京都の公立高校生とインパクトハブ京都
ケース6 博物館での問いの展示:京都大学総合博物館
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