人間・国家・戦争(1959)
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1924年ミシガン州アナーバー生まれ。オバーリン大学卒業後,1954年コロンビア大学でPh.D.を取得。
スワースモア大学,ブランダイス大学などを経て,カリフォルニア大学バークレー校政治学部で長く教授を務めた後,
現在:カリフォルニア大学バークレー校名誉教授,コロンビア大学政治学部客員教授。
専門は国際政治学。
主著:『国際政治の理論』河野勝・岡垣知子訳(勁草書房,2010年),
Realism and International Politics, (Routledge, 2008),
The Spread of Nuclear Weapons: A Debate Renewed, (coauthored, W. W. Norton,2003),
Foreign Policy and Democratic Politics: the American and British Experience,
(Little, Brown, 1967)など。
戦争を引き起こすのは政治家か? 国家の体制か? それとも国際システムか? ルソーやスミス、マルクスにミルなど、あらゆる思想家が論じてきた戦争原因論を、「人間」、「国家」、「国際システム」の3つに体系化し、深く、鋭く、描き出す。国際政治の「分析レベル」を最初に論じた古典的名著を、わかりやすい日本語で訳出! 『人間、国家、戦争(Man, the State, and War)』は、国際政治における紛争を説明するための3つの分析レベル(ウォルツは「イメージ」と呼びます)を確立した、影響力のある著作です。
3つのイメージとは:
第一イメージ: 個人レベル
戦争は、ナポレオンのような特定の指導者の性質や、人間本性に起因するという見方
古典的現実主義と整合的な視点
第二イメージ: 国家レベル
戦争は国家の国内構造に起因するという見方
例:レーニンの帝国主義論(資本主義国家が新市場を開拓する必要性から戦争が起きる)
非民主主義国家が戦争を起こしやすいという考えもこれに該当
第三イメージ: 国際システムレベル
戦争の根本原因は国際システムの無政府的構造にあるという見方
この「無政府状態」とは混沌ではなく、主権国家間の相互作用を統治する上位機関が存在しないことを指す
ウォルツは3つのイメージの中で、これが最も影響力があると評価
この本は国際関係論の分野で広く影響を与え、その分析枠組みは現在も使用されています。J・デイビッド・シンガーなどの研究者からも、国際関係の研究者が自身の研究の前提を理解する上で重要な著作として評価されています。
この本の重要性は、国際紛争の原因を体系的に整理し、個人・国家・システムという3つのレベルから分析する枠組みを提示したことにあります。
日本語版への序文
2001年版への序文
1959年版への序文
第1章 はじめに
第3章 第1イメージからの推論―行動科学と国家間暴力の削減
第4章 第2イメージ―国際紛争と国内構造
第5章 第2イメージからの推論―国際社会主義と第一次世界大戦の到来
第6章 第3イメージ―国際紛争と国際的アナーキー
第7章 第3イメージからの推論―経済,政治,歴史の例
第8章 結論
訳者あとがき
参考文献
事項索引
人名索引