世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
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表紙のテイストが科学的に正しい筋トレ.iconと似てる。流行っていたのかな
2018
医療政策学者でもあり医師でもある著者は、膨大な研究論文からエビデンスを読み解く教育を受け、日々研究を続けている。そうした経験にもとづき、現時点でもっとも「正解に近い」と考えられる食事を本書では紹介している。食事を通して健康になりたければ、5つの「健康によい食品」を食べ、3つの「健康に悪い食品」を避ければいい
(メタアナリシスで統計的に)健康によいと考えられる食品
魚
野菜と果物
茶色い炭水化物
精米されていない炭水化物
健康に悪い
赤い肉(牛肉・豚肉)
加工肉(ハム・ソーセージ)
白い炭水化物
精製された炭水化物(白米・白いパン、パスタ、うどん)
2010年にやはり権威ある医学雑誌に載り、研究の手法も非常に信頼性が高いとされている研究があります。これは21の論文のデータをメタ解析という手法で研究したもので、約35万人を5年から23年にわたり追跡した結果、飽和脂肪酸の摂取量と脳心血管疾患の起こった率とには関連がなかったとしています。
doiは?
Amazonレビュー
地中海食の効用を示した図2−2。
「地中海食+オリーブオイルの栄養指導を受けたグループは対照群と比べて脳卒中、心筋梗塞、およびそれらによる死亡が30%少なかった。」
正しいです。
でもこれは「5年経過を見た研究で”対照群では"1万人あたり6人弱"に脳卒中を起こしたり、亡くなった方がいました。でも地中海食は"1万人あたり4人"でした。」ということ。
relative risk reduction と absolute risk reduction の違いはよく分かっている方なので、これは意図的に30% と表現しているのでしょうし、そうしないと、全く面白みのない本になってしまうので、仕方ありません。
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例:薬を投与したら投与しない対照群の発病より半分になった
対照群の発病は8人であり、介入群は4人なので$ RRR=(8-4)/8=0.5
つまり、そもそも起きた人に対して処置をするとどれだけ変わるか
上の図をabsolute risk reductionで考えてみると
対照群16人のうち発病した人は8人、介入群は4人なので
$ ARR=\frac{8}{16}-\frac{4}{16}=0.25
本の内容で考えてみると
$ RRR = (6-4)/6 = 0.33
$ ARR = \frac{6}{10000}-\frac{4}{10000}=0.0002
本では30%少ないと記述しているので、RRRで表現している
評者は「そもそも脳卒中を起こす割合が低い(0.02%)から数字が与えるほどのインパクトがないのでは?」と言いたいのだと思う基素.icon
たとえば、「コラム 食事と体重の関係」で書かれている以下の文章、
「それではバナナやリンゴなどのいわゆる「糖質の多い果物」はどうだろうか。実は果物の種類と体重変化との関係は、別の研究(★7)で検証されており、バナナやリンゴの摂取量が多い人ほどむしろ体重が減っていたことがわかっている。種類にかかわらず果物の多くはダイエットによいと考えてもよいだろう」とありましたので、これこそ私の求めていた文献だと思い、★7の文献Changes in Intake of Fruits and Vegetables and Weight Changeを読みましたら、この文献の概要は「野菜や果物ならなんでもよいのではなく、デンプンの含まれる野菜と含まれない野菜、繊維の多い果物と少ない果物、糖質の多い果物と少ない果物では、ウェイトロスに大きな差がある」というのが主題の論文でした。そして「研究によりわかったこと」として、「繊維が多く糖質が少ない果物ほど体重を減らす効果があることが明らかになった。」「体重を減らすのに強く効果を発揮したのは、ベリー、リンゴ、梨、豆腐、大豆、カリフラワー、そしてアブラナ科の野菜と青菜類である」という結論でした。「糖質が多い果物でも大丈夫」という主張に対して「糖質が低いほどウェイトロスする」という論文をエビデンス文献としてを持ってくるのは、だめなのではないだろうか、と思いました。 玄米が良いと主張している元になっているエビデンス文献も、「Whole grain (全粒)を摂取したグループは体重を減らした」と書かれていますが、それは精製した穀物を摂取しているグループと比較してであって、Whole grainを食べたほうが、Whole grainもやめて糖質をカットするより体に良い、という論文ではありませんでした。
グラスフェッドバターについても、他の方が書かれている通り。否定するエビデンス論文は全くないにもかかわらず、表紙で否定するというのは「エビデンスベースの本」とうたっているのにいかがなものだろうかと思いました。
説得力のある批判的なレビューが結構あるのは、そもそも原論文への参照があるからなので悪い本ではなさそう
参照がなければレビューもされない
第1章 日本人が勘違いしがちな健康常識
1 科学的根拠にもとづく本当に体に良い食事
2 食品に含まれる「成分」に惑わされるな
第2章 体に良いという科学的根拠がある食べ物
第3章 体に悪いという科学的根拠がある食べ物
特別編 病気の人、子ども、妊婦にとっての「究極の食事」