フレーム問題
有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処することができない
1969年
以下は、この難問について説明した、哲学者Daniel Dennetの思考実験(Cognitive Wheels: The Frame Problem of AI.)を要約したものです。 人間の代わりに危険な作業をする人工知能搭載ロボット1号機R1は、時限爆弾が仕掛けられた部屋の中に入り、貴重な美術品を運び出すよう指令を受けました。R1は、無事美術品を運び出せたものの、美術品が載った台車に爆弾が取り付けられていたことに気づかず、爆弾も一緒に運び出してしまいました。
その問題を踏まえて改良されたロボット2号機R1-D1は、目的を遂行するにあたって副次的に発生する事柄を推論する機能を追加しました。しかし、R1-D1が部屋に入ると、「台車を動かしても天井は落ちないか」「部屋の壁の色は変わらないか」「壁に穴が空かないか」などとあらゆることを推論しているうちに、爆弾は爆発してしまいました。
この例は、人間が無意識に行っている知識(情報)の取捨選択をコンピュータが行うことの難しさを示しています。
基素.icon
探索範囲が無限なら人間でも爆発させてしまう
適当に探索アルゴリズムを改良して探索範囲を有限時間で解けるようにする必要がある
1974 RDB
1979 Realtime OS
第1次AIブームの主流は、簡単な推論/探索です。
例:迷路
迷路で分岐が現れると、順に分岐を探索し、行き止まりになると、元の分岐まで戻り、次の分岐を探索する。
このような手順をスタートから繰り返していけば、いずれ、ゴールに辿り着くのです。
「探索」と「推論」を用いた一例として、オセロがあります。まず、コンピュータにオセロの基本的なルールのみをインプットします。そして、白黒2枚ずつ置かれたゲーム開始の状態(最初に与えられた状態)から勝利(目的の状態)に至るまでを、あらゆる打ち手を試行錯誤しながら(場合分け)探っていきます。そして、ゲームを進める毎に、勝利に辿り着くためにはどこにコマを置くのが良いかを推し量っていきます。
このように場合分けを繰り返し、既知の知識を組み合わせながら目標を達成するために必要な事柄を推し量ることが「探索」と「推論」のポイントです。
1969 ミンスキーは、ニューラルネットワークの基礎となるパーセプトロンには、限界があることを著書「パーセプトロン」で証明し、ニューラルネットワークの研究は一気に沈静化