VTuberのスケーラビリティ
2018/5
Twitterをよく使うVTuberの強みの一つがファンとの双方向的なやりとりがある
双方向性と呼ぶ構造
1. ファンが何かしらのアクションをする
2. VTuberがアクションを観測する
3. VTuberがリアクションをする
4. ファンがリアクションを観測する
双方向性を感じるためには、いくつかの要素をがある。思いつく限り列挙する
ファンが認識されたという認識
ファンが、自分または自分のアクションが認知されたと知覚すること
これ自体がファンにとっての報酬
個としての認知
○○さんという認知をされる場合
認知される条件
いくつも作品を作るなど相当のコストがかかる
人が増えると認知されにくくなる
アクションの認知
発言などが認知されて、なんらかのリアクションを返されること
認知される条件
面白いコメントをつける、絵をかくなど
個としての認知よりもハードルが低い
匿名でも一部は成立する
自分がどのようなアクションをしたのかは、自分が理解している
同時刻性
時刻同期的に反応が変えること
例:絵を描いて投稿したらすぐ反応がもらえた
過去の言説に対して双方向性が薄くなる
アクションに対してリアクションが早ければ早いほど熱量が高まる(仮説)
双方向性がスケールするかどうかを考える
VTuber側はリアクションがボトルネックになる
制約
物理的限界(VTuber自身の限界)
一日は24時間
睡眠時間を減らすと身体的限界に影響する
身体的限界
長時間活動をしていると体調を崩して重要な時期に動けなくなったりする
精神的限界
システム的限界
Twitterのいいね/フォローの規制など
基本的に自前のシステムを持つなどしか対応ができない
効果的なリアクションをするという観点
他VTuberとの競争という面もあるが、問題を単純化するためにここでは考えない
対策
可処分時間の限界
生活時間を減らす
活動時間帯をずらす
平日日中よりは夜のほうが人が多い
変数:人の多さ、他VTuberの活動時間
身体的限界
適度に休む
人が交代する
精神的限界
マネジメントをはさむ
これらの人のマネジメントをどこまでやってるか知らないし、そのようなケアはしていないように見える(やっているのかもしれない)
デメリット(課題):間接的な接触になってしまうと双方向性が薄れる
原因:同時刻性の欠如、認識されたという認識の欠如
以上3つの限界を一気に克服する方法が、人をスケールするという方法
基本的なアイデア
ミッキーマウスのきぐるみ
ライブ配信のようなもの
課題
ライブ
表に見える人は常に一人でなくてはいけない
声が違うと別人に感じる
話し方が違うと別人に感じる
トレーニングである程度近づけることができる
仕草が違うと別人に感じる
同上
動画
並列に録画することもできる
アクターが演技をするようなもの
考えていくと、やはりスケーラビリティには難がある
はじめから全部AIならこれらの課題は全て解決するが、現時点の科学技術ではクリアできない
現時点で現実的な解はなにか?
キャラクターの制約がつけば、限定的には成立するはず
ミッキーマウスのきぐるみはなぜ成立するか
無言あるいは音が出ても適当な音を再生すればよいので、声や話し方についての問題がそもそも存在しない
仕草はある程度定型化している
例えば次のような性質を備えていればスケールする
無口であまり喋らず
あまり動かないか特徴的な動きがない
(できれば)動画を上げる
条件を満たすVTuber
鳩羽つぐ
アムフォ
ピクセルコ
ただし、動画は製作に時間がかかるので演者がボトルネックではない
ボトルネックになりやすいのはリアクション
もう少し深掘りしたい
リアクションをスケールさせるためにはどうすればいいか
無言の反応のスケール
TwitterでのLikeは原理上複数人の運用が可能
情報集約のスケール
エゴサーチは複数の人がやって読みやすい形に集約しても良い
ただし何も知らないとボロが出る可能性があるので、きっちりとしたリアクションは当人がやる必要がある
2023/02/14 ほぼ5年たったので答え合わせ
人をスケールする方法はうまくいかなかった
一人でスケールすることはできなくても、箱によって占領することは十分にできた にじさんじやホロライブは大成功した
双方向性的なスケールはしていないと思うが、Twitterでいいねをつけたり YouTubeでいいねをつけてまわることは第三者に委譲できているかもしれない