RBD
Receptor Binding Domain(受容体結合ドメイン;RBD) 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2002年に出現し、2003年に広がったSARS-CoVと遺伝的に類似しており、ゲノム全体で80%の共通性を有します。
両者とも、宿主細胞に侵入するため、ウイルス表面に存在するSpike糖タンパク質を使用します。両ウイルスのSpikeタンパク質とも、S1とS2という二種類のポリペプチドが一つのユニットとなり、このユニットが3つ集まって三量体を形成します。S1サブユニットのN端にあるReceptor Binding Domain(受容体結合ドメイン;RBD)を介して細胞のウイルス受容体であるACE2(Angiotenisn-converting enzyme2)に結合します。 その細胞侵入は,粒子の受容体結合からエンベロープと標的細胞の膜融合までの過程を意味する.
コロナウイルスは3 グループからなり,MHV,SARS-CoV はいずれもグループ 2 に属している. コロナウイルス粒子は形態学的に特徴のある“王冠(コロナ)様”突起(スパイク)を持つ 1).
スパイクは最外部が球状で,その下の棒状部位でエンベロープに埋め込まれている.
スパイクはウイルスの受容体結合及び細胞内侵入を司り,一本のスパイクは 3 分子の S 蛋白から構成されている.
S 蛋白は分子量約 180kDa のクラス I の fusion 蛋白である.MHV S 蛋白は,分子中程の塩基性アミノ酸部位 が細胞の蛋白分解酵素により解裂され,N 末端 S1 と C 末端 S2 の 2 サブユニットになる.
S1 と S2 は共有結合で結ばれている訳ではなく,その結合は弱い.
スパイク最外部の球状部分は S1 が,その下の棒状部分は S2 が構成すると考えられている.
S 1 の N 末端 330 a個からなる領域S1N330)は受容体結合部位であり,特に MHV 株間で保存されている 2 か所が受容体結合に重要である