防衛3文書改定(2022年12月)
政府は16日、「国家安全保障戦略」など防衛3文書を改定し、敵の基地などを叩く反撃能力の保有方針を閣議決定した。 反撃能力については国家防衛戦略で詳述し、周辺国のミサイル技術が進化する中で迎撃能力だけでは対応が難しくなりつつあると指摘。
「有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止する」と盛り込んだ。
一方で、反撃能力は「必要最小限度の自衛の措置」であって専守防衛の方針に変わりないと説明。
自衛隊と米軍の役割分担にも変更はなく、日米が協力して反撃能力を使用するとした。
専守防衛を掲げる日本は他国の領土に届く攻撃的な武器をそろえず、米軍に「矛」の能力を依存してきたが、中国の軍事力増強をはじめ安保環境が変わる中、方針を転換する。 改定した3文書
@SugioNIDS: まず情勢認識。国家安全保障戦略では、第I項で「グローバリゼーションと相互依存のみによって国際社会の平和と発展は保証されないことが、改めて明らかになった」「普遍的価値を共有しない一部の国家~(中略)~動きを見せている」という大枠を示した上で、第IV項でリスクをはっきりと説明している。 @SugioNIDS: また、後半では、外交、防衛ではない政策分野にも具体的に言及。2013年版と比べてはるかにはっきりとwhole of governmentの取り組みの進め方を書いている。これこそが「国家安全保障戦略」に求められること。問題の絞り込みとそれを受けた政策方針の提示がうまく出来ている。 @SugioNIDS: 特徴は外交重視をはっきりさせていること。国力の要素の項目で「外交力」が「防衛力」より前に書かれている上に、防衛力の項に「抜本的に強化される防衛力は、我が国に望ましい安全保障環境を能動的に創出するための外交の地歩を固めるものとなる」とも書かれている。 国家安全保障戦略は地域の情勢認識について、
中国の外交姿勢や軍事活動が「深刻な懸念事項」と明記。 日本の平和を確保する上で「最大の戦略的な挑戦」と位置付けた。
核・ミサイル開発を加速する北朝鮮は「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」 ウクライナに侵略したロシアは「中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念」とした。
レビュー
@SugioNIDS: 戦略3文書閣議決定。これは素晴らしい出来。日本でここまでのものが出来るとは。正直驚きました。 今回は私は全く関わってませんが、仮に関わっていたとしてもこれ以上のものにはならなかったでしょう。策定チームに心からの敬意を表します。
スレッド
自衛隊のいわゆる「継戦能力」「即応性」を強化しようとしている @SugioNIDS: 国家防衛戦略と防衛力整備計画で注目すべきは、防衛費が増える見込みなのに別表で示される兵力構成が大きく変わらないこと。そこで注目すべきは持続性・強靭性の項目。「2027年までに、弾薬・誘導弾については、必要数量が不足している状況を解消する」という記述や、(続く) @SugioNIDS: 「部品不足を解消して、計画整備以外の装備品がすべて可動する体制を確保する」との記述がある。一方、別表で示される兵力構成における増勢は戦闘機、空中給油機、イージスシステム搭載艦くらい。これは本気で自衛隊のいわゆる「継戦能力」「即応性」を強化しようとしているということ。