社会情報学
社会情報学の研究対象
社会はコミュニケーションから成立する
ある媒体を通じて 伝達されたメッセージを、受け手であるBがどう受けとめるのか予測できないまま、
つまり不確定なまま、送り手であるAが伝達する。その危うい微細な営みにこそ社会が成立する基盤がある。
この指摘のラディカルさは、
コミュニケーションが原理的にいえば、
あくまで不確定で、曖昧な、いつ切断してもおかしくない危うい線上で繰り広げられる営みであることを
ストレートに定式化した点にある。
「共通の価値観」を共有しているから社会が成立するわけではない。
メッセージが無視されるか、理解されるか、あるいは誤解されるか、そのことがわからないまま、
不確定なコミュニケーションを次のコミュニケーションに接続していくことにおいてしか、社会は成立しない。
それがルーマンの主張。
つまり、「社会における情報現象」とは、実際 には「社会」と「情報現象」に切り離された2つの領域あるいは別々のことが らなのではなく、「社会」とはそもそもコミュニケーション、すなわち情報伝達の継続的な過程にもとづくほかないということである。その意味で、社会情報学は、ミクロな場面における対人コミュニケーションからモバイルメディアを介した映像や音声や文字によるコミュニケーション、FacebookやTwitter を通じたコミュニケーション、さらには観測・通信・制御といった一連の情報 処理過程を組み込んださまざまな情報システム (気象観測システム、交通システ ム、行政情報システム等)、そして既存のマスメディアの情報過程をも対象とする。