石川善樹著『最後のダイエット』への個人的コメント
『最後のダイエット』 石川 善樹 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4838727488
この本は最初に雑誌のターザンで同著者による同名の記事が公開された時から注目していました。
私の意見とは不一致がいくつかあるためこのページを作りました。
最後のダイエットの要約
そのあと私のコメント
という書き方です
第一章
p.22 から要約
カロリー制限は確かな方法だが、一人ひとりにぴったりの数字を知るのが難しいので、
減量シミュレータで先にカロリー目標を立てる
コメント
体重を毎日測定した場合、その体重は前日より多い、ほぼ同じ、少ないの3通りになると思う。
減量が効果的に行われているかどうかはだんだん体重が減っているかどうかで判断できる。摂取カロリーというのは消費カロリーと同じく正確な把握が難しいと思うので、ターゲットカロリーはもちろん大事だが、体重の変動を見て、摂取カロリーをもっと減らすとかそのまま維持するとかの方がシンプルでよいと思う。
それと、このシミュレータは10kg20kg単位の減量には対応していないようで、個人的にはシミュレータの有用性がわからなかった。
pp.30-32から要約
年を取るだけで太りやすくなる
基礎代謝が減るから
基礎代謝が減るのは筋肉が減るから
筋肉は20代30代がピークでそのあと年率0.4%から1%減っていく。
病院で寝たきりで過ごすと一日1.0%から1.5%筋肉が減ると言われている。
コメント
最初批判的なコメントを書いていたのですが、ここはそのとおりだと思います。
pp42-43から要約
減量期の生活習慣と、体重維持の生活習慣がある。体重維持の生活習慣はずっと続ける必要がある。
コメント
前に批判的にコメントを書いていましたが、今では妥当だと思います。
第二章 pp.41-104から要約
事例三人
前の二人はBMI25を超えていない
最後の一人がBMI25.2でギリギリ
コメント
ほぼ太ってない人を少し痩せさせているだけに読めた。
メガダイエットの事例を見たかった読者は多かったのではないか。
第三章
p.107から要約
意思の力は限られた資源である
コメント
自我消耗の話だと思いますが、自我消耗の理論は再現性が疑問視されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/自我消耗
ですが、この本が書かれた当時は自我消耗は信頼性の高い理論という扱いだったと思うので、責める気はないです。
責める気はないのですが、石川氏が現時点でこの第3章をもう一度書くとしたら全然違うアプローチになるのではないかと思います。
今の読者がそのまま参考にするのは難しくなっていると思います。
p.122から要約
肥満の原因の大元は睡眠不足である
コメント
言い過ぎと感じる。睡眠不足でも太ってない人はいくらでもいる。大元は摂取カロリーで、それを求める食欲では。
睡眠が重要なのは賛成。
第四章 Q&A
p132から要約
肥満の定義は?
体脂肪率
男性25%以上
女性30%以上
コメント
WHOはBMIで定義してるので、それに触れないのは情報不足では。
ダイエット例の所ではBMIで体型について書いていたので、そこと齟齬があるように感じる。
肥満の定義にBMIを使わないなら理由が必要だと思う。
p.133から要約
ダイエットはいつ始めるとよい?
比較的自由な週末などがおすすめ
コメント
いつでもいいと思う。
最後のダイエットは断食をNGとしてるので、取れる選択肢が減っている。
p.139から要約
部分痩せは?
科学的根拠ない
コメント
賛成
p.147から要約
妊娠中にダイエットしてはダメ?
ダメ。
コメント
賛成
p.152から要約
仕事帰りにコンビニで買ってしまうのだが?
仕事帰りに空腹でコンビニに寄って買わないのは無理。コンビニの前を通らないか、事前に栄養的にましなものを食べておく。
コメント
無理というのが意味がわからない。
私はコンビニはスーパーに比べてすごく割高だと感じているので、コンビニで食べ物はほとんど買わない。
そういう人多いと思う。腹がすごく減ってても関係ない。
p.155から要約
断食してもいいか?
断食はおすすめしない
断食とは本来まったく食事を取らないこと
断食すると筋肉が減る
断食するなら、少し食べながらの断食をしよう
コメント
断食を細かく定義してないので意見がよくわからない。
一般の食事間隔でも食事の間に5時間とか12時間とかカロリーを取らないことは普通だが、何時間までノーカロリーはOKと考えているのかのかわからない。
『最後のダイエット』の基本的な考え方として断食はダメとしてるので、提案が少しカロリーを減らすand少し運動するになっている。
これは例えば毎日朝食または昼食を食べなくするという方法よりも難しくないだろうか(評者の個人的意見です)。
筋肉が減るならどの程度減るのかが知りたい。
断食で筋肉が減るならば、摂取するタンパク質の量を増やすことや運動で相殺できないか。
村上宣寛氏はダイエットするならば運動を増やすことで体が弱るのを防ぐべきと言っている。
p.156から要約
美味しくて健康にいいものを食べてダイエットしたいのだが?
自炊しましょう。
コメント
賛成
p.160から要約
スポーツジムはおすすめ
パーソナルトレーナーをつけるとよい
ジムでは筋トレがおすすめ
コメント
あまり賛成できない。
筋肉を増やしてくことを趣味にできる人にはいいと思うが、それ以外の多くの人にはあまり向かないと思う。
ジムに入って幽霊感員になる確率とリスクに触れてなく無責任に感じる。多くの事務は幽霊会員の存在で経営が成立している。
ジムへのダイエットを目的とした出費はほとんどの場合報われない。
食事を抜くとかだけなら余計な出費はいらないので、そっちの方がいいと思う。
全体コメント、感想
カロリー収支をマイナスにするなら、一番いいのはカロリー摂取をゼロにした時間を長く持つことだと私は思うが、最後のダイエットでは「断食はおすすめしない」ということで否定されている。このことが私とこの本の一番の意見の違い。
糖質制限推しは賛成できない。
エネルギー保存則のもっと強調してほしかった。言い換えると、Q&Aの返答では、もうちょいカロリーの数字を根拠にしながら語ってほしかった。
ジムを無責任にすすめるのはよくない。
個別食品を語りすぎるダイエット指導はあまり好みでない。
最後のダイエットは食欲についての突っ込んだ話が少なかった。石川氏に食欲をコントロールできなくなった経験はあるのかどうかと思った。言い換えると、石川氏はすごく太った経験はないのではないか。
何かを食べるきっかけは食欲が一番大きいと思うけど、食欲の大きさには個人差が見られるように思う。食欲が常時大きい人はやはり太りやすい。そういう人になんとか食欲をごまかす方法を伝授してくれないかという期待があったが、そういう記述はあまりなかった。
食欲に関しては、加藤寛一郎氏の「寝た胃袋を起こさない」についての話が一番参考になったというか役に立った。
この本を読んで、その情報をメインに参考にしてダイエットを行ったBMI30超えの人が、BMIを25以下まで落とせる可能性は低いと思えた。
私が個人的に最も支持できると考えているダイエットに関する日本語の本は、村上宣寛『あざむかれる知性』と加藤寛一郎『一日一食断食減量道』の二冊です。
『あざむかれる知性: 本や論文はどこまで正しいか』 (ちくま新書) 村上 宣寛 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480068627
『一日一食断食減量道』 (講談社プラスアルファ新書) 加藤 寛一郎 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062721643
追記
最近読んだ『やせる経済学』もよかったです
『やせる経済学 世界でいちばん経済合理的に体重を減らす方法』 ロバート・バーネット (著), クリストファー・ペイン (著) 月沢 李歌子 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478102260
ダイエット本要素マトリクス分析:ロバート・バーネット、クリストファー・ペイン『やせる経済学』