文法:態と、動詞側から見たアラインメント
дadжen「燃える/燃やす」を例に、6つの文を以下に示す:
table:態と例文
態 種類 例文 (дadжen は「~」で示す) 意味
能動 能動・自 (中動) ~ なんか-絶 なんかが 燃える
〃 能動・他 ~ なんか-絶 だれか-能 なんかを だれかが 燃やす
受動(受動用法) 受動・自 za~ なんか-絶 だいさんしゃ-因 なんかが だいさんしゃに 燃やされる
〃 受動・他 za~ なんか-絶 だれか-能 だいさんしゃ-因 だれかが なんかを だいさんしゃに 燃やさせられる
受動(使役用法) 使役・自 o~ なんか-絶 だいさんしゃ-因 なんかを だいさんしゃが 燃えさせる
〃 使役・他 o~ なんか-絶 だれか-能 だいさんしゃ-因 だれかに なんかを だいさんしゃが 燃やさせる
ここで、
能動文は、動詞の自他によって二分される。
能動文をもとにして、受動文や使役文(これらはいずれも受動態の文である)を作ることができる。
受動文・使役文にすると、〈事象を起こす意志を持つ者が、事象の外部にいる(上の例ではこれを「だいさんしゃ」と示した)〉という意が加わる。
受動文で事物の一般的性質を述べる用法も、ここから派生している → 文法:受動文の用法§普遍的な事柄を述べる 受動文では、元の能動文における主語がそのまま主語として維持される。
結果的に、日本語でいう使役受動のようなものになる(自動詞受動文の場合も、「燃やされる」=「燃えさせられる」なので使役受動に近い)。
使役文では、〈事象を起こす意志を持つ者〉が主語に立つ。
したがって、以下の関係が分かる:
https://scrapbox.io/files/61d308d72e87bc001d72face.png
これがオエル語話者のラングに潜む態の原理かもしれない。日本語や英語とは全く異なった、しかし整然とした体系を、我々は無意識に作り上げていたようだ。