言語化ハラスメント
最近、自分を含むterang.iconの周囲で便宜的に使いがちな俗語
世間に通じるような決まった意味はない
ビジネス領域に限る話ではなく、それを含む生活全体の文脈
例えば相手に対する質問行為は言語化ハラスメントをいつもはらむ。
いまの気持ちを漢字一文字にするとしたら何?
もし5年後に自分の名前がトップニュースに乗るとしたら、どんな内容だとワクワクする?
死ぬ直前に今の自分を振り返ってどんなことを思いそうですか?
何があなたを、その行為をするに至らしめたの?
脈絡も関係づくりも同意もないこのような問いかけは、場合によって迷惑である。
もちろんありがたいこともある。ケースバイケースといえばそれまでだが。
脈絡や、(問い応い合える)関係づくりや、同意などを事前にデザインする技能がワークショップ設計。 迷惑であるか?以外にも論点がある。それは
言語化を試みることで早期に意味が確定し過ぎるという点。
言語化とは、突き詰めればその言語の意味の外を一時的とはいえ切り捨てる行為。
まだ言語化したくない/すべきでないことや感覚に対して、言語化を促す行為(ここでは質問)によって反応せざるを得なくなる状況に置かれる。
「(今は)応えたくありません」「一旦、保留させてください」という返答があり得るかもしれない。しかし、問いかけによって思考が言語的に揺さぶられることになる。
質問者には、相手に対して瞬間的なパワーが働く
そういう意味では、この「言語化ハラスメント」という語が意味するところをもっと正確に表現するなら、「言語化パワハラ」の方が適しているかもしれない。 関連して出てくる話
対話/ダイアログによって、普段モヤモヤしていた曖昧だった何かが、言語化せざるを得ない状況にされる 繰り返しになるが、もちろんこれにメリットもある。それをきっかけに言語化させてもらえて助かるということもある。
ここでの趣旨は、言語化を促す行為がいつも善い行いであるとは限らない、ということ。言語化促進行為の相対化。
食レポ、映画など作品への感想など
何か言葉では言い表せられない、あるいはすぐに言葉にしたくないことを、無理に記号にする必要はない
幼い子どもに、いま読み終わってすぐの絵本の感想を本当に聞いていいのだろうか。
職場で何かがあったらしき方から実際にあった返答:
「いま言語化すると誰かを悪く言ってしまうので言語化しないでおきたい」
言葉にし難いことを言葉で表現しようと試みることも、もちろん尊いことだと思う。
言葉にすることで他者と通じ合う可能性が上がり(あるいは、対立点が明確になる可能性が上がり)、共生への道が1つ増えるから。
一方で、いつだって「すぐに」言葉にせなばらないということもないと思われる。
その「すぐに」がいつからいつまでの範囲なのかも、確定し難いことではあるけども。
https://gyazo.com/a2a104f274bbacf808f4cc2074c09db4
ある男が果実を食べていると、化物がやってきて問うた。「お前はいつもそれを食べる。何故好きなのか。理由を述べろ、そして語れ」男は何となくと答えた。「ではその実について何も知らぬと?」「知らん、でも俺はこれが大好きだ」化物は男のその答えに納得がいかず、舌を引き抜いて殺した
蛇足補足:のべろはなぜ男の答えに納得がいかなかったのか。それは男が好きな物に対して無知でなおかつ「なんとなく」というふわっとした返答をしたからです。 関連