1日5時間労働を試した企業の記事
「わたしたちの大半がきちんと集中できる時間は、最長でも5時間であることが研究によって証明されています」と、シリコンヴァレーのコンサルティング会社Strategy and Restの創業者のアレックス・パンは説明する。
「1日8時間労働」という概念は、比較的新しい考え方だ。大手自動車メーカーのフォードが約1世紀前、工員に過度の負担をかけることなく工場を24時間稼働させるために導入したことで広がった仕組みである。フォードの工場では、このやり方で全体的な生産性が向上している。
仕事の質が変わってきている今、見直してもいい
Tower Paddle Boardsは15年に5時間制を導入したが、CEOのステファン・アーストルは結果として起きたことに驚かされたという。勤務時間は休憩なしで午前8時から午後1時までだったが、従業員全員が午後を自由に過ごすためにアウトプットを最大化することに集中したことで、会社の売上高は50%増になったのだ。
「午前だけ働いたら午後は自由」が毎日続くのは、結構魅力的
一方、ラインガンスのCEOのラッセ・ラインガンスが初めて時短勤務という案を提示したとき、従業員からはさまざまなルールのアイデアが出てきたという。例えば、スマートフォンのように気が散るものをデスクの上に置くことを禁止する、Slackのような“生産性を低下させるツール”の利用を最小限に抑える、といった案だ。
本来Slackのようなチャットツールは生産性を向上させるツールのはずなのだが・・・
「人間関係という意味で何かが失われていることに気づきました」と、ラインガンスは語る。「仕事に関係ないおしゃべりをしたり、一緒にコーヒーを飲んだりする時間がないと、会社への忠誠心、チーム文化、社内の人間関係などに影響が出てしまうのです」
それは確かにあるかも
リモートワークonlyの職場では、関わる人が少なくて人間関係やチーム文化は醸成しづらいことは確か 「1日に働く時間が少ないと時間管理がうまくできるようになり、集中度が高まります。一方で、予定した時間内に業務を終わらせようとしてプレッシャーが高まる可能性があるのです」
デメリットとして、常に急かされるプレッシャーが高まることがある
「1日5時間制をやめるとスタッフに告げたとき、全員が本当にがっかりしていました」と、アーストルは言う。「そこで初めて、スタッフたちにとっては短い勤務時間が普通になっていたのだと気づいたのです。いまでは増収が達成できた年に限って、8月から11月の4カ月だけ5時間勤務をしています。この結果、時短勤務はクリスマスのボーナスのように特別なものになり、スタッフ全員がこれを得られるように頑張っています」