セミナー資料2026-01_02
博報堂の刑事判決を中心に検討
主な争点
組織委員会の森氏を介した意思の連絡の成否
意思の連絡には、テストイベント計画業務だけでなく、テストイベント実施業務と本大会業務を含むか
(参考)電通グループと東急エージェンシーの刑事判決
主に、テストイベント計画業務だけか、テストイベント実施業務や本大会業務にまで及ぶか、に重点があるように見える。
前提
入札は、書類上、テストイベント計画業務だけを対象としている。
入札は、総合評価方式。
満点 100 点のうち、価格点 30 点、 技術点 70 点(刑事地裁・裁判所サイトPDFの7頁)
意思の連絡(森氏を介したものであるという面)
一般論
……「共同して」に該当するというためには、複数事業者が対価を引き上げるに当たって、相互の間に「意思の連絡」があったと認められることが必要であると解される。しかし、ここにいう「意思の連絡」とは、複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引上げを実施することを認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思があることを意味し、一方の対価引上げを他方が単に認識、認容するのみでは足りないが、事業者間相互で拘束し合うことを明示して合意することまでは必要でなく、相互に他の事業者の対価の引上げ行為を認識して、暗黙のうちに認容することで足りると解するのが相当である(黙示による「意思の連絡」といわれるのがこれに当たる。)。
……本件基本合意の成立により、各社の間に、上記の取決めに基づいた行動をとることを互いに認識し認容して歩調を合わせるという意思の連絡が形成されたものといえるから、本件基本合意は、同項にいう「共同して…相互に」の要件も充足するものということができる。
間接的な意思の連絡
競争者を介するもの
事例多数
コアメンバーの合意内容が、コアメンバーから非コアメンバーに伝達されるイメージ
意思の連絡の成立を否定した例
間接的な伝達を受けた大森工業が、「トラスト・メンバーズないしTST親交会」の会員となることの意味について十分な説明を受けていない旨や、大森工業が個別物件において基本合意と矛盾しない行動をとったのは独自の判断によるものであったことを否定する証拠はない旨が、判示されている。
非競争者を介するもの
近年、
「ハブ&スポーク」の名で世界的に注目され、
その一種が「アルゴリズムカルテル」の名で注目されているが、
日本では、必ずしも明確な事例がなかった。
本件
森氏からの情報入手
博報堂を拘束し、また、他者を拘束する旨を博報堂に伝える、という内容であったか。
総合評価方式の入札で、発注者側(森氏)の意向に沿って行動すれば受注希望競技の受注可能性が高まると考えるのは当然ではないか。
森氏が博報堂に対して好意的でなかった競技に関する博報堂の入札行動
バドミントンと野球(刑事高裁・裁判所サイトPDFの6頁)
スポーツクライミング(刑事高裁・裁判所サイトPDFの5頁)
森氏が博報堂に対して好意的であった競技に関する博報堂の入札行動
自転車競技とホッケー(刑事高裁・裁判所サイトPDFの6頁)
意思の連絡(本大会も含むかという面)
判決では、一定の取引分野の範囲という争点となっている部分がある(特に地裁)が、意思の連絡(仮に成立したとして)の範囲が、テストイベント計画業務だけか、本大会業務も含むか、という問題であると位置付けるのが素直。
議論の実益
社会的な事件の大きさ(・・・告発基準)に影響。
刑事事件では、量刑に影響か。
公取委事件では、課徴金額に影響。
書類上は、テストイベント計画業務だけの入札
「テストイベント計画業務の落札者が、当然、本大会業務も行う」という図式が、発注者だけでなく、入札者(意思の連絡を行った者)の間で共有されていたか否か。