セミナー資料2024-06
#セミナー資料
2024-06 公正取引協会セミナー
福岡については確約認定(令和5年6月27日)
乾海苔について、漁連(漁協)が組合員(「海苔生産者」)を拘束し系統外流通業者(商社)を排除、というストーリー
一般指定12項
(拘束条件付取引)
12 法第二条第九項第四号又は前項に該当する行為のほか、相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引すること。
これに該当すると、独禁法2条9項6号に該当し、「不公正な取引方法」ということになる。
一般指定12項では、「不当に」=「公正競争阻害性」
事案により、競争停止が起きる場合と他者排除が起きる場合がある。
本件では、
行為
熊本は(1)〜(5)の行為(5〜9頁)、佐賀は(1)〜(4)の行為(5〜8頁)
(1)(2)が海苔生産者に対する禁止、(3)以下が(1)(2)の「実効性を高めるもの」
弊害
排除効果(市場閉鎖効果)に相当する認定をしようとしている
「事実上、所属する漁協から区画漁業権の行使を認めてもらう必要がある。」(3頁)
海苔生産者にとって全てを系統外にすることは困難(4頁)
「uncontestableな部分」と「contestableな部分」
(商社にとって)有明海沿岸の乾海苔を「他に代えることが困難な場合が多い。」(5頁)
実際の影響エピソード(熊本10頁、佐賀8〜9頁)
排除効果は、一般的抽象的な危険性で足り、現実の影響は必要ないと解釈されているが、現実の影響があれば、一般的抽象的な危険性があることを示す間接事実となる。
どの市場での弊害か
検討対象市場=「公正競争阻害性にいう「競争」が行われる場」
公取委は、「一定の取引分野」という文言がないことを根拠に、明確にしない。
裁判所で争われたら論ずる。
乾海苔を売る競争ではなく、海苔生産者から乾海苔を買う競争を考えているのではないか
そうすれば、全国の産地との競争を考えずに済む。
土佐あき農業協同組合東京高判
公正競争阻害性の有無の判断について,消費地の卸売市場に出荷された高知県産のなすの産地間競争の状況を検討する必要があるとしても,土佐あき農協が組合員に対してなすの販売受託取引について拘束条件を課すことで,商系三者が土佐あき農協管内及びその周辺でなすを集荷することが困難になるということであれば,集荷から先の取引段階に進むことは困難になることは明らかであるから,本件行為においては,なすの販売受託取引を市場として公正な競争秩序に悪影響を及ぼすかどうかを検討することが必要となるのである。
排除措置命令差止請求などの裁判について
行政事件訴訟法37条の4
「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある」の要件を満たさないとして退けている。
退けるに当たり、排除措置命令が違反の自認を求めないことを主要な理由としている。
行為でなく弊害が争われている場合
行為をやめることが容易であるとき
行為をやめることがビジネスモデルの否定であるとき
行為があれば実際上は違反とされることが多い場合(カルテルなど)
景品表示法の措置命令は、違反の自認を求めている。