日本の社会や社会保障のあり方について、私たちはどのように考えていくべきか
日本の社会や社会保障のあり方について、私たちはどのように考えていくべきか
産業資本主義社会における効率と公正のせめぎあいを考えたときに、どちらか一方に偏重するのではなく、どちらもかんがえることが大事 → どう考えるべきか?
社会保障には、公正だけでなく、効率にも資する側面がある
例えば、社会保障には、所得再分配による公正の実現という側面と同時に、社会を安定化して経済成長の基盤を形成するとともに、新たな需要及びその供給に必要な雇用を創出することにより、経済成長に寄与している
また、国民皆保険等の社会保険の強制加入の仕組みは、全ての国民に医療サービスへのアクセスを保障することにより、公正を実現するとともに、市場の失敗である逆選択といった問題を解決することを通じて、効率に資する側面もある
効率と公正の二者択一的議論から脱し、人々が真に幸せになるためには本質的に何が必要かを、具体的かつ全体的に整合性のとれた形で考えていく必要がある
「国家か、市場か」、「効率か、公正か」 という議論は、歴史的には一巡している
結果としては、「国家も、市場も」、「効率も、公正も」――つまり、効率と公正を同時に実現すべきということ
市場は資源配分の面で優れた機能を持つが、失敗することがあり、国家の関与を必要とする
一方で、その関与が不適切なものであれば、社会的損失が生じてしまう
効率と公正のどちらか片方だけを追求し、片方を犠牲にするやり方では社会はうまく回っていかず、何より社会のメンバーである人間一人ひとりを必ずしも幸せにしていない
諸外国の好事例も参考にしながら、二者択一的議論から脱し、日本で現実に起きている社会の諸問題に適切に対応するために、そして人々が真に幸せになるためには本質的に何が必要か、どのように社会保障制度を改革していくべきかを、市場の役割、国家の役割等を踏まえ、具体的かつ全体として整合性のとれた形で考えていくことが必要
参考文献
平成 24 年版厚生労働白書 -社会保障を考える-