『罪と罰』
『罪と罰』は、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの長編小説で、1866年に雑誌『ロシア報知』に連載されました。世界文学の最高傑作の一つとされています。 『罪と罰』は、1860年代のペテルブルクを舞台に、元大学生による金貸しの老婆殺害事件を描いた作品です。主人公の貧乏学生であるラスコーリニコフは、自分が「選ばれた」天才であると信じこみ、他者を殺しても許されるという考えから、金貸しの老婆を殺害します。良心の呵責に苦しむ彼の魂の遍歴を辿る名作です。 『罪と罰』のタイトルの罪に道徳的な意味はなく、ロシア語のプレストプレーニエ(直訳すると「一線を越えること」)で犯罪を意味します。そのため、『犯罪と罰』と訳した方が正確です。 ドストエフスキーは、19世紀後半のロシア文学を代表する作家で、1846年に“第二のゴーゴリ”と激賞されて華々しくデビューしました。しかし、続けて発表した作品が酷評され、1849年に空想的社会主義のサークルの一員となったことでシベリア流刑となり、1854年まで服役しました。