食いましたよ
昼休み、食事を終えた静が机に突っ伏していると、無線からクッソうるさい声が聞こえた。 「エビちゃんおる?」
遥の声に、静は慌ててスピーカーマイクを取る。
「伊勢原さん、海老名です」
何かあったのかと、静は少し身構えた。
「食いましたよ」
「ごめん、ほんだけ」
少し申し訳なさそうな遥の声を聞いて、静はキャハハと声をあげて笑った。 それから呼吸を整えて、スピーカーマイクのスイッチを握った。
「東雲さんがおったら怒られますよ?」
静はわざとらしく、遥を責めるような声で言った。
マイクをフックに戻す手が、少し震えていた。
嬉しそうに鼓動する心臓の音が邪魔で、静はその日、日課の昼寝ができなかった。