遥はいつも堂々と手を繋いでくれるよな
「僕なぁ、ここのイルミネーション、絶対遥と二人で見に来たかったんや」
「僕も、静と二人で来たかった」
「遥はいつも堂々と手を繋いでくれるよな」
手元に視線を落として、静が言うた。
「嫌か?」
僕は静の顔を見て訊ねた。
「嬉しいんや」
静は僕を見上げて答えた。詳しい話は聞かんでもだいたい想像できた。
今まで、寂しい思いをしてきたんやろな。
「僕はみんなに自慢したいくらいや。こんなにかわいい人と付き合うとるんやぞって」
僕が笑うと、静も笑うた。
静はすべてがかわいい、最高の恋人や。
もう、僕にはもったいないなんて思わん。
静にとっても僕が最高の恋人なんやって、自信を持って言えるよ。
「見てぇ、遥。僕これ欲しかったんや」
去年のイヴ、子供が持っとんをうらやましそうに見よったもんなぁ。
静は子供に混ざって、真剣にランタンを作っとった。僕はほんな静を見守っとった。
「きれいなぁ?」
静は自慢気にランタンを僕に見せた。
ランタンは透明なプレゼントボックスの形をしとって、中には色付きのセロハンと雪に見立てた綿とライトが入っとった。
「うん、きれいやな」
僕はランタンを見て、ほれから静の顔を見て言うた。
きれいやな、静。イルミネーションがかすんでしまうくらいきれいや。
僕は静の頬を指の背でなでた。
「冷たぁ……」
静は僕の手を握って、上目遣いに僕を見て笑うた。
かわいいな、静。イルミネーションの中におると、ホンマに天使みたいや。 僕たちはぴったりくっついてベンチに腰かけて、大きなクリスマスツリーを眺めとった。
クリスマスソングが流れ、子供たちははしゃいで、大人たちは写真を撮るんに夢中やった。
「寒うないか?」
僕が訊ねると、静は寒さで赤くなった頬を両手で包み、僕の顔を見た。
「寒いけど、きれいな?」
静が言うた。
「うん、きれいやな」
僕は静の肩を抱いた。
「ツリーもきれいけど、静が一番きれいや」
僕が言うと、静は恥ずかしそうに笑うた。
静は狐みたいな目を細めて、きれいな歯を見せて笑うた。
初めて会うたときと、おんなじ笑顔。
僕はずっと、静が好きやった。
これからもずっと、静だけを愛しとる。