粉言うたスよね?
「神田橋さん」
「はい」
「二人のときは、和って呼ぼうか?」
「は……?」
頬を染める和の顔を見て、円が笑う。
「いや、そんなことよりも、粉言うたスよね?」
手元を指さして不満げな和に対して、ついに円は声を出して笑った。
「俺には粉には見えんのスけど?」
「……トッピングやな」
「え?なんでトッピングやするんスか?ほんで東雲さんのには粉しか入ってへんし」
真剣な顔で抗議する和を見ながら、円は笑いがこらえられない様子だった。
「ええけん食べ、伸びるで」
「どう?」
「甲殻類っぽいッスね」
「そのままのも食べてみぃや」
「嫌ッス……」
「嫌ッスよ!」
拒否する和に、甘ったるい笑顔を向ける円。
「あーんせぇ」
箸でコオロギをつまんで構える円に、観念したのか和は口を開けた。
「かわいいな、和は」
遥の真似をしているつもりなのか、同じ言葉を口にして、円は和の頭をワシワシとなでた。 和はというと、耳まで真っ赤になってされるがままになっていた。