今度ラーメン食いに行かんスか?
夕方、事務所に帰ってきた和が円に声をかける。
ラーメンは和の中ではデートには入らないのか、円が相手でも割と気安く誘えるらしい。
笑顔で答える円。
「やった!」
嬉しそうに目を輝かせる円に、遥が水を差す。
「え、なんて?」
「コオロギ。コオロギラーメンやて。おまえ『ええよぉ』までしか聞いとらんかったやろ」
ニヤニヤしながら遥が言う。
「コオロギくらい食えるッスわ!……粉になっとんスよね?」
明らかに動揺する和が、遥から円へと視線を移す。
「粉になっとうよ」
「来いやコオロギ!」
「かわいいなぁ、和は」