ラーメンがうまい季節になりましたね
「ウィッス」
ちょうど集配から帰ってきたところで、和に声をかけられた。
「おつかれさん」
僕は駆け寄ってきた和の頭をつかんでワシワシとなでた。
和は迷惑そうな顔をして、桃色の髪を手ぐしで直した。
「ラーメンがうまい季節になりましたね、今度食いに行かんスか?」
「和は毎日ラーメン食うとるやん」
和には行きつけのラーメン屋があって、毎日ほこでラーメン大とライスを食いよるんを僕は知っとる。
ほんでこの細い体型を維持しとんやけん、体の中にブラックホールでもあるんちゃうかと思うわ。
「ほなけどみんなで食うラーメンはまた別でしょ?」
僕を見上げて懇願するような顔をして和が言うた。
「別なことあるか」
「別なんスよ~、エビと東雲さんも誘って新規開拓しに行きましょうよ~」
エビちゃんと東雲さんも誘ってか。正直僕はほの言葉に弱い。やっぱりみんなで出かけるんは楽しいもんな。
エビちゃんが来る前は、和と東雲さんと僕の三人でよう出かけよった。夏には海にも行ったしな。
3人でおるときも楽しかったけど、4人ってやっぱりええよな。車で後ろの席に座っとっても隣に誰かおると楽しいもん。
まあ、車に乗ったら東雲さんの横は和の指定席やけん、僕はいつもエビちゃんと後ろに座るんやけどな。
でもエビちゃんと話しするんは楽しい。エビちゃんはいつも熱心に僕の話を聞いてくれて、楽しいこと言うたら声を出して笑うてくれるけん。
「和のお目当ては東雲さんやろ?」
僕は少し意地悪にほう言うた。
「誰があんなおっさん!」
東雲さんの名前を出した途端にテンパってまうんやから、かわいいなぁ。
「とにかく、週末はみんなでラーメンッスからね!忘れんといてくださいよ!」
和は僕の腹に2発グーパンを食らわせてほう言うた。
「了解。週末は和とデートな」
「み・ん・な・で!!!」
スマホを取り出す僕に向かって、和が大声で訂正してきた。
「訂正、週末は4人でダブルデートな」
「なんでデートなんよッ!!」
和の3発目のパンチが僕の腹を叩いた。
ほんなに面白い反応するけん、いじられるんやぞ?
ほなまあ、週末はみんなでラーメンな。楽しみにしとこ。
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