こんなおっちゃんのどこがええの?
「伊勢原さん、返事は?」
エビちゃんにほう言われて、僕は「はい」と返事をした。
不服そうに口をとがらせるエビちゃんを見て、僕は思い出した。手紙や。あれ、やっぱりラブレターやったんや。 「あの、ありがとうな」
「うん、ほんで?」
エビちゃんは明らかに期待しとうみたいやった。
僕やって、こういう告白を受けたことがないわけやない。でも、こんなに年下で、男……っていうんは初めてやった。 「つ、付き合うて欲しいとは書いてなかったやん」
僕が言うと、エビちゃんはうつむいてしもうた。
「こんなおっちゃんのどこがええの?」
ほなってほうやん、僕なんかのどこがええっていうんよ。社会的地位もお金もないし、年やってエビちゃんのお父さんのほうが近いやん。仮にエビちゃんが男が好きやとしても、わざわざ僕を好きになる理由はないわ。
「わかった」
エビちゃんは絞り出すようにほう言うと、どこかへ行ってしもうた。
かわいそうなことしたかなぁ、でも、こうするしかないんよな。