おまえうんこしたいやろ
遥が不意に足を止めた。
「は?」
唐突な言葉に、和がキョトンとする。
「こんな人込みで、美人を一人でうんこに行かしたら危ないよなぁ……」
「は?」
「東雲さん、申し訳ないんやけど、和についていってやってもらえんだろうか」
遥は心底すまなそうに円に向って言った。
「そうやな、美人が一人でうんこに行くんは危ないと僕も思うわ」
真剣な声で円は答えた。
「なんで俺がうんこすることが前提になって話が進んどんスか???」
難しい顔をしている遥と円を交互に見て、和が言った。
「よっしゃ、僕がついていきますわ」
「ほな僕らその辺適当に見よんで、終わったら連絡ください」
遥と言葉を交わした円は、和を引っ張って歩いていった。
遠ざかる下駄の音を聞きながら、遥の隣にいた静が声をあげて笑った。
遥はそう言って、笑いながら静の手を取った。