うんこには行ってないけん
「エビ~、港まつり面白かったな、また来年も花火見に行こうだ」 夕方、集配から帰ってきた和がご機嫌な様子で静に言った。
「来年も神田橋さんがうんこに行ってくれるならみんなで行くよ」 伝票を書く手を止めて、和を見上げて静が言った。
「いや、行ってないけん!うんこには行ってないけん!!」
慌てて和が否定する。
「大声で何を言うとん、下品なやっちゃのぉ……」
受話器を置いた円が、あきれた様子で言う。
「だってなんか俺がうんこ行ったみたいになっとるやないッスか!」
「行ったやん」
「行ってないやん!!」
円に必死で抗議する和。その姿が、余計に笑いを誘った。
「はい、お疲れぇ~」
円に軽くあしらわれて、和は納得できない様子で事務所を出て行った。