数学と芸術
もともと数学は直感的なものだった
長方形を90度回転させても面積が変わらないことを「眼で見て」積の可換性を説明する
理解を進めていくと、抽象的になればなるほど、イメージの力が重要になることがわかる
言葉に表しにくいが「ここまで考えた」というセーブポイントのようなものが必要
それを定着するものとしての図
ポロックの絵画はフラクタル構造になっている
フラクタル構造は自然界に溢れており、それを抽象し具現化したと評される
人が感じる美を掘り下げていくと数学的な要素があるのではないか
逆も言えて、数学を突き詰めていくと美に到達するのではないか
理系の研究者が作った図や視覚化に美を感じる
美しくあることを意図して作られていないもの
規則を突き詰めて生まれる形
ダーシー・トムソン『生物のかたち』
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/46/Thompson%27s_fish.tiff/lossless-page1-220px-Thompson%27s_fish.tiff.png
レヴィ=ストロース「構造」
3D空間上にローカル座標を持ったオブジェクトが変形されてこうなってるみたいな想像をすると面白い
いろんなものに黄金比を無理やり当てはめているものは怪しい
フィボナッチ数列の隣同士の数の比が黄金比に近づくのは面白い
グリッチの美は、一見ランダムのようではあるが、計算の結果作られたものであり、必ず規則がある
そのパターンに美を感じるのではないか
見た目で良し悪しを判断しているが、その基準はどこにあるのか
数式の視覚化などで「美しい」「興味深い」と感じるものには人によって違いがある
エッシャー自身はそれほど数学の能力は高くなかったが、視覚的・直観的な洞察と同世代の数学者の影響から独自の研究を進めた
エッシャーの作品はあまり好きではないが、モチベーションや研究スタイルに興味がある
作品に感じるつまらなさはある種のメディアアートに感じるつまらなさと通じる気がする
説明的というか、ある技術を見せたいがために表現が後景化している
おそらく数学者の世界こそ、社会的状態と関係なく価値が決まる文化的生産物が存在し、ただ数学が良くできる「だけ」の人たちがそれを生み出していく、といったことの可能な最後の場所かもしれないと考えた
深谷 賢治『数学者の視点』 (Japanese Edition) (p. 19). Kindle Edition.
かつて教育的効果などは業績と見做されなかった
20世紀は芸術が運動として展開された
作品個々の自立した価値が薄れ、新しい表現様式という「社会的」「政治的」なことが創造の前面に出てきた
ゲームのキャラクターの向きを変えるのに三角関数が使われる、などを例に挙げて芸術との関係を説明したり、役に立つ(あるいは必須である)という主張を見かけるが、個人的には違和感がある
ここで使っているのは単に「計算」である
そもそもコンピュータは計算機
中身がブラックボックスであっても「機能」として知っていれば使うことはできる
既に確立されている方法を利用しているだけ
微分を理解していなくても指数の次数を下げて係数にかける、というルールを知っていれば導関数は求められる
三角関数それ自体が持つ広がりとゲームでの使われ方は必ずしも一致しない
ある目的があって、それを達成するために数学を応用している
計算と数学の違いを丁寧に掘り下げたい
計算によって性質が明らかになる
演算、操作
最初に三角関数が使えると気付いた人は偉い
三角関数が使えるのではないかという仮説を立てられる思考こそが重要
数学が持つ「事実」からどのように「意味」を見出すか?が(私の考える)芸術にとっては重要なのかも知れない
数学や美術のような、ある確立した分野を別の分野から捉え直すだけではないアプローチ
人間の直感では作れないもの
データとモデリング
コンピュータサイエンスにおけるデータ構造などは求めているものに近い気がしている
OPT ART
Unconventional Computing Lab
役に立たないもの
合目的的でないもの
定義を満たせばそれが何であるかについては問われない
ソフトウェアにより手作業がコンピュータ上で行えるようにはなったが、コンピュータならではの表現はまだまだ開拓されていないのではないか
Anthony FroshaugがCentral School of Arts & Designで教えていたvisual mathematics
数学的思考とアート思考
どちらも何となく意味するものは分かるものの、これがそれであると言うのは難しい
数学と芸術を自明な既存のジャンルとして考えない方が良いと思う
黄金比で分割して綺麗な図を作りましたみたいな
プログラミングだから科学で、絵を描くから美術、とか
パウル・クレー
イコール無限
連続と離散
ユベール・ダミッシュ
自然計算
自然計算とは、自然の中で観察される計算過程と、自然に触発された人為的計算を指している
これは芸術にも応用できるように思う
自然現象を計算の観点から観察する
遺伝子の組み換えなど
その観察に基づいて計算モデルを構築する
計算モデルを分析し普遍化する
計算モデルを自然現象で再実装することにより計算の可能性を探求する
自然の模倣としての芸術
古典的な芸術の本質
写実的な絵
写真的なCG
人間みたいなAI
現実世界みたいな仮想世界
このあたりの欲求が自分にはなく、そのメディアならではの質感に興味がある
まずは模倣を完了させて、その後に独自路線という考え方なのかも知れない
この世界がどのようにできているかという興味?
写真の登場後に写実的な表現が変わったという通説
我々の環境に情報や計算が加わってからの芸術
Nature-inspired Algorithms
芸術から生まれた数学
芸術に見られるパターンを数学の言葉で構築して生まれた数学の分野
射影幾何学
ルービックキューブは建築学の教授が三次元幾何学を分かりやすく教えるために考案した