吉岡洋
IAMAS在籍時に影響を受けた思想家
常勤していたのは6年と短かったので、自分の在籍時とほぼ被っていたのは幸運だった
専門学校と大学院をIAMASという名前で統一した際の名称を考案した
自分が入学してすぐイラク戦争が開戦して、三輪先生と共に緊急の自主ゼミが開かれ「大学に来たな」という感じがした
シラバス上は『現代思想』となっていたが現代思想史的な内容はほぼ扱わない
当時はそれが不満(というか自分たちが馬鹿だからしてくれないと思っていた)だったが、あのような講義こそが彼の考える思想であり、それを享受できたのは贅沢だったと思える
テレビや最近の流行みたいな話から徐々に哲学上の問題に接近するのが彼のスタイル
価値観を揺さぶられた言葉の「俺は皆がちょっとずつ悪いことをする世の中が好きや」というのは彼の授業でポリコレについて話していた中で紹介された彼の友人のエピソードで語られた言葉 たばこをポイ捨てしたら、それを拾って家までついてきた人に向けて言ったらしい
潔癖症的な態度、思考に陥らないための話がよくなされていたように思う
記憶している話
「何かに騙されないためには対象をリスペクトするべきだ」というのがある
歴史を紐解くと、「キリスト教なんて駄目に決まっている」と言っていた人ほどコロッと改宗している
「芸術は何かに負けたものがやるものであり、『芸術で勝つ』というのは語義矛盾である」
女装をする会社員のドキュメンタリーで、最後に家族と一緒に暮らす様子を映し、そちらを「普通の顔」と表現した番組を批判していた
どちらかが本当で、どちらかがフェイク、ということはない
全体としてその個人を作り上げている
テンプル・グランディン『動物感覚』
自閉症でロミオとジュリエットが何をしているのか分からない
動物の感覚が分かる
牛が屠殺場に行く途中にすごく暴れるので、皆は死を直観して嫌がっていると思っていたが、テンプルによれば水溜まりをなくせば良いという結論だった
クリプキ
内容は覚えていないが東浩紀『訂正可能性の哲学』で言及されていたのと、たびたび読もうとして挫折している
自分にコントロールできない問題で悩まない
柳に雪折れなし
正式な授業以外で色んな自主ゼミを開いていた
アラビア語講座
アラビア語で書かれた記事の中にビンラディンの文字を見つけられるだけでも全然違う
中国語講座
シンガポールからの留学生ジャムセンによる講座
難し過ぎてすぐ終わった
数字の発音ができず皆Fワードになってしまい爆笑
Perl講座
学術会議でも話題になった
川崎弘二は京都大学の講義に潜り込んでいたらしい
退職記念トークイベントでの室井尚によると「吉岡は聞く人で、合わせる人なので本当の力が引き出されていない」
京大時代はカントへの興味、当時誰も注目していなかった思想や潮流に対するアンテナが際立っていた
論文も書かず、単著も出さない
にも関わらず重役に抜擢され続けてきたことがすごいと思う
むしろ美術展やフェスティバルに関わる
自分が学生時代に感じた不満と近い