『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
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2024/7/24
阿部幸大 著
光文社
目次
原理編(アーギュメントをつくる;アカデミックな価値をつくる;パラグラフをつくる)
実践編(パラグラフを解析する;長いパラグラフをつくる;先行研究を引用する;イントロダクションにすべてを書く;結論する)
発展編(研究と世界をつなぐ;研究と人生をつなぐ)
演習編
論文はアーギュメントを論証するもの
本質的に一文に圧縮可能な論文の核となる主張がアーギュメント
アーギュメントは事実ではなく主張なので反論できるものでなくてはならない(反証可能性)
論証が必要な主張 = テーゼ、アーギュメントはデカいテーゼ
ワンパラグラフ・ワントピック
パラグラフごとに1つの小さいテーゼを論証する
自分が調べたメモに含まれるファクトで論証できそうなテーゼをひねり出せばよい
重厚な文章は情報量と適切なパラフレーズで作られる
情報量が多いと専門家らしいという印象を与える
事実と抽象を接続するのがパラフレーズ。(蝶番的)
できていないと論証が飛躍しているという印象になる
パラフレーズできるかどうかが思考力そのもの
ハイヨのUneven U
抽象度の話が結論の書き方にもつながる
著者はセンテンスの抽象度のスケーリングを5段階で行っている
論文の価値は応用可能性で決まる(引用するに値するかどうか)
トップジャーナルの論文は最も引用される論文
大きい文脈に接続している
書物は読まなくても引用できる
そもそも読む量が膨大だとすべては読めない
代わりにアーギュメントに圧縮して関係性をマッピングする
動機付け
自分の小さい研究を巨視的な文脈と接続する
著者にとっては「人文学の究極の目的とは?」という自問自答への自分なりの答えが仕事の精神的支柱となった
千葉雅也の「欲望年表」は自分の人生をネタに人工的な物語を創作する技法
無意味な人生と現在のつながり、必然性を無理やり見出す作業
学びの動機付けマップに似てるhoshihara.icon
『アンパンマン』においては、男性性によって女性が排除されている
このようにSVOでアーギュメントを記述すれば、主張内容を明確に記述することは避けられない。主張をより明確にする効果がある
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hoshihara.icon『アンパンマン』は~である。がアーギュメント
パラフレーズ「『アンパンマン』は太平洋戦争における日米双方の加害性を暴く」
できてない、元の文章から語彙だけ拝借して無意味に縮めただけで言い換えにはなっていない
筆者の正解としては1がアーギュメントで5はより詳しい反復
筆者は文章全体を一気にパラフレーズするのではなく逐語的に言い換えを行っている。このやり方がよさそう
以下はこの本とは直接は関係ないメモ
単なる事実なら、または主張の薄い漫然とした事実なら、その人間が書く必要なんてない。価値観すなわち人間としての有限性が見えてこない。だから、主張や偏見が多分に含まれた文章は読む価値がある。論理的な主張を示すのが論理的な文章
必ずしも理屈がなくても、偏見だとしても、ある人間のこだわりというのは味わい深い。
その領分を文学作品が担っているのだな
論理的な文章と文学的な文章には明確な役割分担がある
この本と『着眼と考え方 現代文解釈の基礎』を読んで、自分の意見は欲しいが、それを持つのは高度な技術と思った