製品・工程ライフサイクル
製品・工程ライフサイクル
「製品・工程ライフサイクル」説は、ある製品(例えば自動車やそのエンジン)とその生産工程の誕生から成熟化までの技術的発展史に、一定のパターンが当てはまると主張する。
すなわち、
①大きな製品のノベーションが頻繁に起こる「製品革新期」から始まり、
②「ドミナントデザイン」(謂わば本命・決定版として登場する製品モデル)をきっかけに「工程革新期」へと以降し、
③最後の「標準化期」に、製品・工程ともに標準化・効率化が進む反面、技術革新が減少するという意味でシステムが硬直化していく、という非可逆的なライフサイクルをたどると考える
table:生産マネジメント入門1 産業内の工程技術革新のモデル
製品革新期 工程革新期 標準化期
支配的な技術革新のタイプ 製品の大きな変更が頻繁に起こる 量産化のために、工程の大きな変更が起こる 製品と固定の部分改良、生産性と品質の累積的な改善
競争上の重要点 製品の機能的性能 製品の多様性 コスト引き下げ
技術革新のトリガー ユーザーのニーズとユーザーの技術導入に関する情報 内部の技術的能力の拡張によって生み出される機会 コスト引き下げと品質改善の圧力
製品ライン 多様、しばしば特注設計を含む かなりの量産が可能なほどに安定した設計が少なくとも1つ ほとんど区別のない標準化製品
生産工程 柔軟だが非効率的、大きな変更に簡単に適応できる より硬直的になるが、大きな変更をともなう 効率的、資本集約的、硬直的変更には高いコストがかかる
設備 汎用設備、高度な熟練工を必要とする いくつかの部分的工程が自動化され、「自動化の島」を形成する 専用設備、大部分は自動化しており、労働者の作業の大部分は監視、制御
原料 原料は、一般で手に入るもの(汎用材料)に限られる 専用の原料が原料メーカーから供給されるかもしれない 専用の原料を必要とする。もしそれが手に入らないときは垂直統合化が広範に起こる
工場 小規模工場、ユーザーが技術ソースの近くに立地する 多目的工場、専門化したセクションをもつ 大規模工場、特定の製品の専門工場
table:生産マネジメント入門1 製品・工程ライフサイクルと製品・工程マトリックスの対応
初期 急成長期 成熟期 標準化・衰退期
製品属性
製品の多様性 多品種 品種削減 ドミナントデザイン コモディティ化
モデル当たり生産量 少量 生産量拡大 大量生産 大量生産
産業組織 小企業 合併・整理 寡占・大企業 生き残り企業
競争の軸 製品属性・性能 品質・量 価格・納期 価格
工程属性
工程のタイプ ジョブショップ バッチフロー ラインフロー 連続フロー
スループット量 少量 拡大 大量 大量
工程イノベーション △ ○ ◎ ○
自動化 △ ○ ○ ◎
垂直統合 △ ○ ○ ◎
プロダクト・ライフサイクル説には、製品と生産工程の相互作用という視点は入ってこない。
製品と生産システムの歴史