異時点間選択
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すぐにもらえる小さい報酬か 将来にもらえる大きい報酬か
私の見方では、人の道徳性はほぼすべて、短期的な利益と長期的な利益の兼ね合いとして理解できる。それは信頼についても同じで、大ざっぱに言えば、信頼がかかわるケースは「異時点間の選択」と関係がある。異時点間の選択とは、決断によって得られた結果の価値が、今すぐと将来とで異なるような選択である。次のように考えてみよう。不誠実な振る舞いを選択すると、あなたはすぐに多くの資源を獲得できる。もし時間が今止まれば、パートナーを犠牲にして得たお金や恋人をだまして得た満足によって、あなたの財産や快楽は大幅に増すだろう。だが、そうした行為が誰かにばれたら、あなたの長期的な成果は危うくなる。つまり、その選択は、今この瞬間には確かな利益をもたらしてくれそうでも、時間が経てばよくない結果をもたらす可能性があるのだ。もし信頼できない人間だと見なされたら、あなたを雇ったり、あなたと結婚したり、あなたを支えてくれたりする人を見つけるのは難しくなる。ならば、誠実な振る舞いをつねに選択して、長期的な成果を最大にすればいいではないか? 単純な話だ。しかし進化の見地からすれば、すべての人が必ずしも長生きするわけではない。死は、思ったより早く訪れることもある。だから、たとえば今から二五年後に初めて得に転じる利益を最大にしようとして全精力を注いでも、早死にしてすべてが水の泡にならないとも限らない。さらに、必ずしもすべての利己的な行為がばれるわけでもない。誰にも見つからなかったら、あなたの長期的な見通しは暗くならず、短期的にも長期的にもいい思いができる。