汎用技術(general purpose technology)
・広範な分野や産業に適用可能であり、技術革新やイノベーションを促進する力を持つ技術
・多様な産業や分野での応用が可能であるため、他の技術との組み合わせや連携によって、新たな価値創造やビジネスモデルの創出が期待される
・汎用技術の導入や適用には、技術習得や組織の適応力、および適切な戦略や政策が求められる。また、技術革新に伴うリスクや課題にも注意を払い、倫理的・社会的な問題に対処することが重要。
日本経済が停滞しているのは、知識発見から見るとチャンスなんだよなー
戦後のヒトモノカネ無しの状態でどうやって重工業を成立させるかという厳しい状況で、今では汎用技術と評価されるトヨタ生産方式が確立できたし
厳しい経済環境下だからこその優れた製品開発意思決定モデルを作りたいー
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汎用技術(はんようぎじゅつ、英: General-purpose technologies; GPTs)は、経済全体に影響を与える可能性のある技術のことである。通常、国家レベル、地球レベルで影響を与える技術のことを言う。汎用技術は、現存する経済や社会の構造への影響を通じて、社会を劇的に変化させる可能性を秘めている。 汎用技術の例としては、蒸気機関、鉄道、交換可能部品、電力、電子工学、マテリアルハンドリング、機械化、制御理論(ファクトリーオートメーション )、自動車、コンピューター、インターネット、医薬品、ブロックチェーンなどが挙げられる。
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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
概要
汎用技術は、広範な分野に適用可能な技術や知識であり、一般的には多くの産業や業務に影響を与えるもの。
これらの技術は、経済全体の生産性向上やイノベーションを促進する役割を果たし、時には産業構造や社会全体の変革を引き起こす。例えば電力、インターネット、人工知能。これらの技術は、多くの産業分野で活用されており、新たなビジネスモデルや産業の創出を促す。
どのような問題に有効か
汎用技術は、様々な問題に対して有効。
例えば、生産性の向上やコスト削減、環境問題の解決、情報通信技術の進歩、医療技術の革新など、多くの課題に対して適用可能。
どのような結果が期待できるか
様々な結果が期待できる。
例えば、生産性の向上、コスト削減、新たな産業の創出、雇用の創出、環境問題の解決など。また、従来の手法では難しいとされていた問題や課題に対しても、新たなアプローチや解決策を提供する。
実行するためにどのようなハードルを乗り越える必要があるか
技術的な課題がある。新しい技術や知識を習得し、それを適切に適用することが求められる。
次に、資金的なハードルがある。汎用技術の開発や導入には、多額の投資が必要となる場合がある。また、規制や法制度の制約によって、技術の導入が難しくなる。
さらに、既存の技術や産業に対する抵抗感や、技術に対する社会的な認識の変化が必要となる場合がある。これらのハードルを乗り越えることが、汎用技術の社会実装に繋がる。
実行するとどのようなネガティブなことが起きるか
技術の導入によって、既存の産業や雇用が破壊される可能性がある。
新しい技術が従来の技術を置き換えることで、失業が増えることが懸念がある。
技術が悪用されるリスク
例えば、AI技術がディープフェイクの作成などの不正行為に利用される。これらの問題に対処するためには、適切な規制やガイドラインの整備、技術の適正な利用や管理が求められる。また、技術の導入によるデジタル・デバイドの拡大や、社会的な格差の増大も懸念される。特に、汎用技術が急速に普及する中で、技術へのアクセスや教育が不十分な地域や人々が取り残されるリスクが存在する。この問題に対処するためには、技術の普及や教育の機会均等化が重要となる。
どのような状況で用いるか?
さまざまな状況で用いられる。
特に従来の手法では解決が困難だった問題や、新たな価値を創造することが求められる状況で活用される。
例えば、製造業での生産性向上や品質管理、医療分野での診断や治療の最適化、エネルギー分野での省エネルギー技術の開発、金融業界でのリスク管理や取引最適化など、多岐にわたる分野で汎用技術が活用される。
過去の成功例は何か
インターネット
普及により、情報の共有やコミュニケーションが劇的に変化し、ビジネスや社会活動に大きな影響を与えた。また、スマートフォンの登場により、情報通信技術が一段と発展し、人々の生活に大きな変化をもたらした。
人工知能(AI)技術
自動運転車や医療診断、金融取引など、多くの分野で革新的なサービスが提供される。
関連する考えは何か
イノベーションは、新しい技術やアイデアが社会や経済に取り入れられ、新たな価値を生み出すプロセスを指す。汎用技術は、イノベーションを促進する役割を果たし、産業構造や社会全体の変革を引き起こすことがある。また、技術の普及や拡散に関する研究も、汎用技術に関連している。
関連するフレームワークは何か
技術が発展・成熟・衰退の各段階を経ることを説明するものであり、汎用技術の普及や影響を理解する上で有用。
技術開発や普及に関与する企業、政府、研究機関などの相互作用を考慮したフレームワークであり、汎用技術の発展に関する包括的な理解を提供する。
新しい技術やアイデアが社会に普及する過程を説明し、技術の受容や拡散に関する要因を明らかにする。
比較されるフレームワークは何か
汎用技術とよく比較されるフレームワークには、専門技術やニッチ技術がある。
専門技術は、特定の分野や用途に特化した技術であり、その効果や影響は限定的。一方、ニッチ技術は、特定の市場や顧客層に特化した技術であり、広範な市場や用途には適用されない。これらの技術と汎用技術との違いは、適用範囲や影響力の広さにある。。汎用技術は、多くの分野や産業に適用できるため、経済や社会全体に大きな影響を与える。
利用する手順
技術選定
目的に適した汎用技術を選ぶこと。
技術の習得や導入に必要なリソース(人材、資金、設備など)を確保
技術の適用に関連する規制や法制度を調査し、遵守する
技術を具体的なプロジェクトや業務に適用
既存のシステムやプロセスとの整合性を確認し、適切な導入戦略を立案
技術の導入後に効果や成果の評価を行う
技術の効果が期待通りであるかどうかを検証し、改善や最適化の取り組みを続ける。また、技術の適用に伴うリスクや課題にも注意を払い、適切な対策を講じる。
知識の限界は何か
まず、技術的な限界がある。汎用技術であっても、あらゆる問題や課題に対して効果的であるわけではない。特定の分野や用途においては、専門技術やニッチ技術の方が適切な場合がある。
また、汎用技術の導入には、技術的なハードルやコストが伴う。特に、最新の技術や未熟な技術の導入には、リスクや不確実性が高まる。
さらに、組織的な限界も存在する。汎用技術を効果的に活用するためには、組織内での技術習得や適応力が求められる。また、技術の適用に伴う倫理的・社会的な問題やリスクも、その限界と言える。
汎用技術(general purpose technology)
大方の人が産業革命を牽引したのは蒸気機関だと考えている。たしかにそう考えてまちがいではないが、実際には蒸気機関は工業化のプロセスで遅れてきたエースだった。腕力や馬力から機械への移行が工場制の台頭を決定づけたことはたしかにしても、蒸気機関が経済に与えた影響が顕在化するのは一九世紀半ばになってからである。動力源としての蒸気が水力を圧倒的に上回る優位性を備えていることは疑問の余地がない。水力は何と言っても地理的条件に左右される。マルクスは蒸気機関を最後に登場した原動力だと述べたうえで、「その出力は完全に人間がコントロールすることができる。また、持ち運びができるので都市部で使うことができ、したがって都市部に生産を集中することが可能になる。これに対して水車は農村部に設置するので、全国に点在することになってしまう」と指摘した(20)。そのとおりだが、もっと重要なのは蒸気機関が工場生産に限らず汎用的に利用できる、とくに輸送に応用できるという点だ。コンピュータや電気と同じく、蒸気機関は経済学者が「汎用技術(general purpose technology)」と呼ぶものに該当するのである。
汎用技術の歴史
21世紀 クラウドコンピューティング
19世紀半ば 蒸気機関
工場に集中が可能になり、工業都市化
出力のコントロール
19世紀以前 水力 農村部に点在
改善の傾向
地理的制約の開放
出力のコントロール性の工場
集中性
価格の需要マッチング
動力の集中
二〇世紀の汎用技術を代表するのは、電気と内燃機関である。この二つは工業をあらゆる面で変えただけでなく、平均的な市民の生活も様変わりさせた。カール・ベンツが一八七九年の大晦日に二サイクル・エンジンを完成させ、その一〇週間後にエジソンが電球を発明したのは、経済史における偉大な偶然の一つである(4)。第一次産業革命における驚異の年が、リチャード・アークライトとジェームズ・ワットがそれぞれの発明に特許を取得した一七六九年だとすれば、一八七九年は第二次産業革命の始まりを告げた年だと言えよう。とは言え、ベンツとエジソンという個人の貢献を過大評価すべきではあるまい。彼らは、産業を変えたイノベーションの大波の一部に過ぎなかったとも言える。その大波は、大量生産の時代に最高潮に達する。アメリカの実業家エドワード・フィリンが指摘するとおり、工場制が第一次産業革命の象徴だったとすれば、第二次産業革命の象徴は大量生産だった(5)。
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AIは蒸気機関、電気、コンピュータと同じ汎用技術であり、さまざまな分野に応用できる。経済学者のイアン・コックバーン、レベッカ・ヘンダーソン、スコット・スターンによると、AIはこれまでおもにコンピュータ科学誌で紹介されていたが、現在は応用分野の雑誌で取り上げられるケースが劇的に増えている。二〇一五年時点の推定では、AI関連のすべての出版物のうち三分の二近くはコンピュータ科学以外の分野で発行されたものだ(12)。これはAIが次々にさまざまなタスクに応用されている現状とも一致する。機械翻訳で有望な成果を出している技術と同じ技術で、画像認識などの視覚的なタスクもこなせるのである。こうしたアルゴリズムは、画像の一つ一つのピクセル(画素)から出発して、幾何学模様のようなきわめて複雑な特徴を認識できるようになっている。
二〇一七年にネイチャー誌に掲載された別の記事によると、ニューラルネットワークとデータセット(一二万九四五〇件の臨床画像)を利用して、有資格の皮膚科医二一人とAIの診断精度を比較したところ、AIはすでに人間のレベルに達していた。「(アルゴリズムは)実験に参加した専門家全員と同じ精度を両方のタスクで実現し、人工知能が皮膚科医に匹敵する皮膚がんの分類能力を持つことがあきらかになった。深層ニューラルネットワークを搭載したモバイル端末を使えば、皮膚科医の診察室が診療所以外に広がる可能性がある。二〇二一年までには六三億人がスマートフォンに加入すると予想されており、世界中の人が命にかかわる診断サービスを低コストで受けられるかもしれない(16)」。
過去をふり返ると、いずれの技術も原理は単純である。インターネットがここまで広まったのは、ティム・バーナーズ・リーにより、World Wide Webというハイパーテキストのシステムが登場したという理由が大きい。ハイパーテキストというのは、普通のテキストに加え「リンク」を張ることができるという、それだけである。たったそれだけのことで、ウェブページがつながり、個人や企業のホームページができ、検索エンジンができ、ソーシャルメディアができた。そのイノベーションは、「テキストをリンクで簡単につなげる」という単純なものだった。
トランジスタは、高度経済成長期にさまざまな電機メーカーを生み出し、我々の生活に大きな影響を与えたが、やはり始まりは単純だった。「信号を増幅する」というたったそれだけのことだった。このトランジスタが集積し、IC、LSI、VLSIといった半導体になった。そして、電卓が生まれ、ラジオが生まれ、テレビ、パソコン、携帯、スマホが次々と生まれた。
ディープラーニングも、できることは単純である。現実に存在するさまざまな入力から出力への写像をデータから学習することができるようになる。それによって、画像診断が生まれ、顔認証が生まれ、自動運転や片付けロボット、介護ロボットが生まれ、そしていずれ言語の意味理解を行うような人工知能が生まれるはずだ。その先の可能性は計り知れない。
おそらく、今後、10年、20年の工学の分野を考えると、機械系や電気電子系、情報系の学科と並んで、今でいうディープラーニングを専門とする学科ができているのではないかと思う。そのぐらいディープラーニングというのはシンプルでかつ汎用的な技術である。