人事の歴史
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人事の役割1.0 「能力・年功主義」日本型賃金の始まり
戦後、定期昇給制度を採用する民間企業が増え、企業に年功の概念が浸透していった。
右肩上がりの経済成長
真面目に努力すれば伴う結果に年功的な昇進・昇給
従業員は忠誠心をもって仕える
組織と従業員の間には強い信頼関係が成立していた。
順調な経済成長を前提とする「年功制」は経済成長の鈍化により崩れ始める
1973年のオイルショックに端を発する経済成長の鈍化
年功的に昇給(賃金)・昇進(ポスト)を実現できない状況の発生
社内の公平性を保つべく、編み出された処遇の制度「職能資格制度」
ポストがなくても、職務遂行能力が向上していけば資格が上がり、賃金が上昇する制度
人は年齢を経るごとに経験を積み能力が上がるという思想のもと、「年功制」をベースに運用された
関連
人事1.0は人材マネジメントにおける従業員の動機づけはシンプル
人事は規則・ルールの整備や社内利害の調整の役割を担うことが多かった
言い換えると社内基準合理の思想に基づき、社内の公平性を保つ調整をしていた #社員公平性 年齢・能力を年功により画一的に管理し、全員をできるだけ平等にマネージすることを目指した #横並び人事 1980年代後半 職能資格制の限界
9割弱の企業に普及した「職能資格制」にも1980年代後半、機能の限界が訪れる
団塊の世代のポスト不足が深刻化
人事は専門職制度や、役職ポスト増幅(部長代理、課長補佐など)を設けていった
人事の役割2.0 「能力・年功主義」が「職務・成果主義」へ移行した
90年初頭のバブル崩壊により経済成長を前提とした「終身雇用」「年功序列」は危うくなった。
「年功制」をベースに運用されていた「職能資格制度」は大幅な修正を強いられる
従業員の高齢化により膨張した人件費
人員構成の歪み
人事の思想は経済合理へと転換する
社外競争力強化のためコスト生産性を管理して経営の効率性を高める
従業員が組織だけでなく仕事に対してコミットする意欲を高め、課題の達成を動機づけ、企業業績の向上につなげる「成果主義」が採用される
「能力・年功主義」が「職務・成果主義」に移行する中で、経験や潜在的なものも含め人の持てる能力(人)においていた処遇の基準は組織の貢献(成果)へとシフトした
選抜した従業員に研修や意図的なジョブローテーションのような機会を与え戦略的に育成するといった、人材マネジメントの新しい潮流がみられるようになる。
「成果主義」は企業活動への貢献度に比例して処遇する考え方だが、何を評価しどう処遇に反映させるかに唯一無二の解はなく、各社各様、試行錯誤してきた
例えば、多くの企業で導入されている、貢献度を仕事の価値や難易度で決める職務評価に基づく等級制度は、適切に運用されないと、従業員の不満を招くことになる。
評価の納得感を向上させるため、MBO(目標管理)制度を併用している企業も多い。
だが、成果を精緻に測定すること自体が非常に困難なために、うまく機能せず、評価者の負荷が高まる一方で被評価者の納得感向上にはうまく結びついていない、といった問題もみられる
経営への不信感・将来不安
「成果主義」導入の背景には、膨張傾向にある人件費を変動化し環境変化に耐えうる筋肉質な組織を作るというねらいもあり、並行して早期退職制度の導入やリストラ、非正規社員の雇用の施策が実施されていた。
これらの施策がもたらす雇用不安や、競争の激化により短期スパンで求められるようになった業績へのプレッシャーなど、従業員を取り巻く不満・不安の原因は枚挙にいとまがない。
このようなさまざまな問題が重なり、それらはやがて経営への不信感・将来不安へと繋がっていった。職場では連帯感が薄れ、人々は疲弊し生き生きと働くことが困難になってきている。
競争優位性を高めるために導入した「成果主義」は、必ずしも思ったとおりの成果につながっていない事態が少なからず存在しているようだ。
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出典