交渉
他人との間に起きた問題の解決をなんらかのやりとりによって行うこと
統合型交渉
複数の条件を組みあわせる交渉
配分型交渉
ひとつの条件の交渉
新しい提案をすることで新たな交渉が締結する状態
交渉可能な条件領域
合意に至らなかったときの代替案
決裂したとき
自分がどうなるか
相手がどうなるか
最初は小さく始め、徐々に規模を大きくする。
条件付き合意
○○が起きたら、丸々する
事例
「ニュース機関と主要なデジタルプラットフォームの間には深刻な交渉力の不均衡がある。これは部分的にはニュース機関がプラットフォームと取引せざるを得ないためであり、コンテンツや他の問題に関する支払いでプラットフォームと交渉する力はほとんどない」とACCCの委員長を務めるRod Sims(ロッド・シムズ)氏はコメントした。
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ここで言う戦力とは、交渉を有利に運ぶ力のことだ。自分に都合のよい変化を得る力と言ってもいいだろう。力が強ければ強いほど、望みの結果が得られる可能性が高くなる。ポーカーでは、手札の強さがこの戦力に相当する。対して手腕とは、この戦力を背景に最高の結果を引きだす戦術のことだ。手札をどう使うのか。具体的には、度胸、不安、ねばり強さ、頼もしさ、発想の豊かさ、冷静さ、立ち去る勇気、非常識な言動などが挙げられる。交渉に使える力が戦力であり、その戦力をどう使うのかが手腕である。交渉の上手な人なら、同じ戦力で多くの戦果を挙げられる。
ディズニーと契約を結んだときのピクサーは、戦力も手腕も足りていなかった。ハードウェア事業をあきらめたばかりで、水面に顔を出した状態をなんとか保とうと苦労している最中だったし、長編映画を作ったこともなかった。これでは十分な戦力などあるはずがない。手腕については、珍しくスティーブが弱っていた時期だったのではないかと思う。でも、それから4年以上がたっている。「まやかしは、一度目ならだましたほうが悪い、二度目はだまされたほうが悪い」──スティーブがよく口にする警句だ。4年前と同じことにはならないだろう。
「ディズニーには十分な資源がありますしね。それに、時間も味方に付けています。コンピューターアニメーションを内製する準備が整うまでの数年間は、我々との契約でしのげばいいわけですから。立ち上げの時間を我々が作ってあげているようなものです」
ディズニーにとって、これ以上の戦略はないかもしれない。不要になるまでピクサーを使い倒せばいいのだし、しかも、その間、利益の大半が懐に入る。契約が終わるころにはコンピューターアニメーションを内製する準備が整うから、ピクサーなど捨てればいい。
アニメーション映画の配給ということでは、どう見てもディズニーが一番だ。おもちゃや服など関連グッズの商品化能力もずばぬけているし、映画やそのキャラクターがたくさん登場する世界最高のテーマパークがあるし、アニメーション映画におけるディズニーブランドは他のスタジオでは得られない信頼の看板となる。これほどの力を他で得られるのかと問われれば、疑問だと言わざるを得ない。ディズニーがピクサーを必要とする度合いより、ピクサーがディズニーを必要とする度合いのほうが大きいはずだとディズニーは考えるかもしれないし、実際、そうなのかもしれない。たしかに、これは我々の戦力をそぐ要因である。
ドリームワークスは、1994年にジェフリー・カッツェンバーグがウォルト・ディズニー社を辞めて創設した映画スタジオだ。盛んに行われた報道によると、マイケル・アイズナーCEOがカッツェンバーグを社長にしなかったことが原因らしい。カッツェンバーグはウォルト・ディズニー・スタジオの会長として、アニメーション復活の立役者となった人物だ。その彼がスティーブン・スピルバーグとデビッド・ゲフィンとともに立ちあげたのがドリームワークスで、ディズニーと正面からぶつかるアニメーションスタジオの創設と実写映画に乗りだすとしている。 ディズニー
・契約修正に応じる義務がない
・コンピューターアニメーションにみずから乗りだしてもいい
・ピクサーにとって他社はディズニーに劣る
・ピクサーはヒット作1本しか実績がない
・アニメーションの優先順位が下がりつつあるかもしれない
ピクサー
・制作費用をIPOのお金でまかなえる
・『トイ・ストーリー』が成功した
・ドリームワークスはディズニーに対する脅威である
・待てば条件がよくなる
「それはそのほうがいいでしょうね。ただ、アイズナーがそういうことをするのは考えにくいと思います。あれこれ軽々しく口にするタイプじゃありませんから。ピクサーの機嫌を多少取ってもいいかなと思っても、いましなければならない理由もありませんし。『トイ・ストーリー』の熱が冷めないうちに我々から動いたほうがいいかもしれません」
「で、断られたら? ディズニーとの関係が悪くなって、残り2本の制作に影響が出るかもしれないよ?」
「制作への影響は避けたいですね。ビジネス面の関係とクリエイティブな関係をきちんと切り分ける必要があるでしょう」
「じゃあ、話を持ちかけるとしたらどういう条件にするのか、考えてみようか」
交渉では、落としどころを用意したうえでこれは難しいだろうと思う条件を打ち出すのが普通だ。このやり方ではあらかじめ落としどころを考えなければならず、そのせいで弱腰になりがちという欠点がある。自分自身を相手に交渉する感じになってしまうと言ってもいい。できればこのくらいという条件を要求してはいるが、心の中では、落としどころでもいいやと思ってしまっているわけだ。
スティーブも私も、そういうやり方は嫌いだった。落としどころなど用意しない。スティーブの場合、要求をいったん決めたらそれが絶対になる。望むものが得られないなら、代わりになるものなどない、よって、交渉は打ち切る──そのくらいの覚悟で交渉に臨むのだ。だからスティーブはすさまじいばかりの交渉力を発揮する。自分の条件にしがみつき、譲歩しない。ただし、やりすぎてすべてご破算になるおそれもある。落としどころを用意しないのであれば、なにを要求するのか、慎重に考える必要がある。
新しい契約条件
1.クリエイティブな判断の権限
2.有利な公開時期
3.収益は正しく折半
4.ピクサーブランド