フレーミング効果
病気の流行で六〇〇名の命が危機にさらされている時、ふたつの対策が取れることが分かった。あなたはどちらを選ぶ?
例題1
① 二〇〇名が助かる。
② 三分の一の確率で六〇〇名が助かり、三分の二の確率で全員が死んでしまう。
例題2
③ 四〇〇名が死んでしまう。
④ 三分の一の確率で全員が助かり、三分の二の確率で六〇〇名が死んでしまう。
もし①と④であればその答えは多数派である。
この実験を行ったトベルスキーとカーネマン( 54) の研究では、同じ人が二つの問題に答えたわけではないが、前者では約四分の三がプラン①を選び、後者では逆に④を約四分の三の人が選んだ。ただしよく考えてもらいたいが、選ばなかった③は①と意味は同じである。同様に②と④も同じである。ということは、最初に①を選んだとすれば、③を選ばないのはおかしいのだ。
「助かる」という表現を用いるか、「死ぬ」という表現を用いるかで人間は全く違った選択を行ってしまう。同じ事柄を別の表現を使う、つまり別の額縁=フレームをつけることで、人間の選好判断が変わってしまうということで、この現象はフレーミング効果と呼ばれている。
論文
Tversky, Amos, and Daniel Kahneman. "The framing of decisions and the psychology of choice." Science 211.4481 (1981): 453-458.MLA
出典