チェンジ・ブラインドネス
変化盲
レンシンク( 21) らの実験では、二枚の画像が用いられる。この画像はだいたい同じなのだが、一ヵ所だけ違う部分がある。この異なっている部分はきわめて明白で、もし二つを並べて呈示されれば瞬時にわかるようなものである。実験ではこの二つの画像が一秒程度の短い間隔で交互に何度も呈示される。ただ、一秒とは言っても、何が映っているのかは明確にわかるレベルである。参加者には、この画像を見ながら違っている部分を見つける、つまり間違い探しをすることが求められた。
二枚並べれば瞬時にわかるレベルの違いなのであるから、数秒以内で多くの人は違いに気づくはずと考えられる。しかし、実際は全く違う。数秒で気づくという人はほとんどおらず、数十秒経っても気づかない人たちが多数存在する。私も講義でこれを使ったデモ実験を行うが、一〇〇名程度の受講者のうち、すぐにわかる人は二、三名程度しかいない。一分近く流し続けても気づけない人も相当数存在する。一方、これに気づいてしまうと、その違いはあまりに明白になり、それを長い時間気づけなかった自分にひどく驚いてしまう。
参考
出典