サブリミナル
人間が刺激を知覚する、その刺激の存在を意識的に認識できるのは、その刺激が十分な強度で、十分な時間呈示され、かつ他のことに注意を向けていない時である。また認識できないといっても、全然認識できないレベルと、はっきりと意識できるレベルの二つに分けられるわけではない。たとえば、何かが現れたけれどもよくわからないなどという状態もある。さらに、何か現れたとすらその場ではわからないが、その後に行う課題において、以前に現れたものの影響が出ることがある。これがサブリミナル効果と呼ばれているものである。
いくつかの本には、サブリミナル効果は嘘だったという記載がある。そういうことで、サブリミナルは当てにならないと信じている人もいるかもしれない。確かに、最初に行われたとされる、映画館でのポップコーンやコーラを用いた実験は、ヴィカリーという人の作話だったことが知られている。
しかし、ここ数十年の研究は、サブリミナル効果は実際に存在することを立証してきた。語彙判断課題のようなものでは、数多くの研究が、サブリミナル刺激の事前呈示によって単語判断のスピードが向上することを明らかにしている。また、ジュースを飲ませる(買わせるではない)というような、より複雑な課題(行動プライミングと呼ばれる)においても、単純に飲み物を事前にサブリミナル呈示しても効果はない。しかし、課題の前に喉を渇かせておくと呈示群は非呈示群よりもよく飲むという報告もなされている。
出典