エビデンスベースド・アプローチ
Gordon Guyattが1991年に発表した論文からEvidence-based Medicineが始まった。そのアプローチの医療領域外への幅広い転用。 https://gyazo.com/36edda91bb4850bde7e65d9548763797
Guyatt, G. H. (1991). Evidence-based medicine. ACP Journal Club March/April, A-16.
エビデンスが取れることばかり重視してしまう
様々なエビデンスベースド○○
EBMの5つのstep
1.問題の定義
2.情報収集
研究デザイン
3.情報の批判的吟味
4.情報の患者への適用
個別適用
5.1~4のフィードバック
誤解7:EBMとNBMは対立概念であり,互いに補完し合う車の両輪である という誤解
Narrative based Medicine(NBM)がEBMの対立概念として語られることがあります.これは,EBMがエビデンスを盲信した医療であるという誤解から,それでは患者不在の画一的な冷たい料理本医療(cook book medicine)となってしまうので,患者の文脈を尊重し,患者の物語(narrative)を重視した医療を行うべきという考えからNBMが生まれました.しかし,HaynesのEBM実践の4要素を見るとわかるように,EBMは患者の希望や価値観を含みます.したがって,EBMとNBMは対立するものではなく,両者は同一のものであり,EBMはそのうちエビデンスを注目したもの,NBMは患者のナラティヴを注目したものと考えることが出来ます.エビデンスとナラティヴが車の両輪であるという言い方ならばわかりますが,EBMとNBMが車の両輪であるという根底には,EBMとエビデンスの混同があるものと思われます.そして,NBMの提唱者の一人であるTrisha Greenhalghは元はEBMerでした.彼女が一番,EBMがエビデンス偏重であると世の中に広まってしまったことを憂いているのかもしれません.
EBMは患者の役に立っているのか?
この研究の結果をどう解釈するか.EBMが患者の役に立っていないと結論付けるのは早合点でしょう.この研究で分かることは,情報をたくさん仕入れてエビデンスを知っても,それを患者にどう使えばいいか分からなければ情報を知らないのと変わらないということだといえます.つまり,この研究では,EBMはエビデンスを個々の患者にどのように当てはめるのかを考えるStep4が最も大事であるということが示せたのです.
教育実践におけるエビデンスの功と罪