『研修開発入門「研修転移」の理論と実践』
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目次
はじめに
第1部 研修転移の歴史、理論的枠組み、実践策
1.研修とは何か?
1-1 個人の行動変化・現場の変化
1-2 「やりっぱなし」の研修
1-3 「研修転移」とは?
2.研修評価
2-1 研修評価研究の歴史
2-2 「4レベル評価モデル」の提唱
2-3 研修転移研究
3.研修転移の実践
3-1 2つのモデル
3-2 研修でできること
3-3 職場でできること
3-4 受講者個人ができること
3-5 人材開発部門の責任範囲
第2部 研修転移の実践事例
Case1:ファンケル
「反転学習」を軸とする究極の内製化研修が示した成果
Case2:ヤマト運輸
研修内容がそのまま現場の問題解決に直結する
ブロック長・支店長ペア研修
Case3:アズビル
テクノロジーを利用した研修リマインドが効果を上げる
Column:研修企画者の立場から見た研修転移の工夫 島村公俊
1.現場に足を運んで得た情報を基に企画する
2.現場部門に、参加者の行動変容への責任を持たせる
3.研修を、職場ぐるみのOJTの場に変える
4.1年で完了する企画でなく、3年先を見据えた企画にする
Case4:三井住友銀行
研修転移の要諦は実践を組み込んだ研修プログラムにあり
Case5:ニコン
新入社員の第一歩を見守る「指導員制度」が研修転移のカギ
Case6:ビームス
月1回、半年繰り返すOJT研修の面談の効果
第3部 研修転移を促すための働きかけ
〈座談会〉 研修転移のカギを握る「上司巻き込み」のノウハウ公開
1.「研修前」の上司の巻き込み
上司に強制力を働かせる
現場の課題とフィットさせる
上位方針と連動させる
2.「研修中」の上司の巻き込み
研修に集中できる環境をつくる
研修の一部に関わってもらう
研修の「前後」と紐づける
3.「研修後」の上司の巻き込み
上司と部下で並走させる
事後アンケートを活用する
人事の熱量を伝える
Column:研修転移を促す講師の働きかけ 鈴木英智佳
1.参加者の現場を知る
2.「やればできる感」を高める
3.本人のWANTを問う
4.スモールステップを明確にする
5.逆戻り予防策を考える
6.行動を宣言させる
7.参加者同士を結び付ける
8.ハッピーエンドで終わる
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はじめに
研修の問題
学んだことが実践されない
実践されないので成果が出ない
第1部 研修転移の歴史、理論的枠組み、実践策
1.研修とは何か?
1-1 個人の行動変化・現場の変化
1-2 「やりっぱなし」の研修
1-3 「研修転移」とは?
研修の無転移を研究したのが研修転移(Transfer of training))
研修で学んだことが、仕事の現場で一般化され役立てられ、かつその効果が持続されること
・一般化(Ganeralization) 学びが現場で適応されること
・持続(Maintenance) 適応の効果性が持続すること
2.研修評価
2-1 研修評価研究の歴史
研修評価の歴史的過程
研修転移研究は研修評価から派生して発達してきた。
1.4段階モデル
2.ROI
3.4段階モデルの洗練化時代の包括的段階
2-2 「4レベル評価モデル」の提唱
4段階モデル 1950~1987年
4レベル評価モデル(Four-level model of evaluation)
ドナルド・カークパトリック
ROI 1990年代~
グローバル化による競争激化の状況下で効果的な研修のために評価測定が必要となった。研修投資に対してどれくらいお金を産むことができたのかを示すことが求められた。しかしうまくいかなかった。
4段階モデルの洗練化時代の包括的段階 2000年代~
より理論的かつ実務家に有効な研究が目指された。
Holton III, E. F. (1996). The flawed four‐level evaluation model. Human resource development quarterly, 7(1), 5-21.
研修評価の4レベル
table:『研修開発入門「研修転移」の理論と実践』 研修評価の4レベル
レベル 内容 項目 手法 時期
1 反応 研修に対する印象 満足度・有用度・自己効力感 アンケート 研修直後
2 学習 知識・技術の獲得 学習内容・獲得度 テスト・ロールプレイ 研修前・中・後
3 行動 学習内容の転移、行動変化 活用度 アンケート(本人・他社)・インタビュー・行動観察 研修数ヶ月後
4 成果 ビジネスへの影響 売上・利益・従業員満足度・退職率 実験群と統制群の比較・成果につながる要素の分析 研修数ヶ月後
ASTD2010の参加者への研修評価実践のアンケート(704人)
1.反応 92%
2.学習 81%
3.行動 55%
4.成果 37%
5.ROI 18%
なにもやってない 4%
4レベル評価モデルへの批判
受講者へのレディネス、意欲、研修デザイン、個人特性、仕事との繋がり、職場の雰囲気、転移の仕組みなどの学習要素が含まれていないなどの批判に晒されている。
2-3 研修転移研究
研修評価研究が進むにつれて、学ぶことだけでなく、学んだことを実践することに焦点が当たるようになった。
メタ分析で分かったこと
研修後の自己効力感を高めるのは、受講者の研修直後の反応であり、この反応を予測するのが、講師のインタラクションスタイル(指導方法)であったという点です。
講師が受講生との心理的距離を縮めるようなインストラクションスタイルであったときに、受講生の反応はよくなり、その結果「研修内容を現場で実践できそう」だと考える自己効力感が高まるというのです。この自己効力感は、研修後の行動を予測する変数とされているものです。
Baldwin, T. T., Ford, J. K., & Blume, B. D. (2009). Transfer of training 1988–2008: An updated review and agenda for future research. International review of industrial and organizational psychology, 24(1), 41-70.
研修転移を測るために行動段階の評価を研修後に頻繁に行うことで現場での転移が増した。
行動変化の度合いを質問紙で尋ねる
リマインドをする
3.研修転移の実践
3-1 2つのモデル
研修転移の2モデル
3-2 研修でできること
3-3 職場でできること
転移失敗の要因
役員達が非関与
Kirkpatrick, D., & Kirkpatrick, J. (2005). Transferring learning to behavior: Using the four levels to improve performance. Berrett-Koehler Publishers.
3-4 受講者個人ができること
研修意欲(Motivation to transfer)や研修意思(Intent to transfer)は転移にほとんど関係していなかったことが明らかになっている。
研修転移促進策
3-5 人材開発部門の責任範囲
第2部 研修転移の実践事例
Case1:ファンケル
「反転学習」を軸とする究極の内製化研修が示した成果
Case2:ヤマト運輸
研修内容がそのまま現場の問題解決に直結する
ブロック長・支店長ペア研修
Case3:アズビル
テクノロジーを利用した研修リマインドが効果を上げる
Column:研修企画者の立場から見た研修転移の工夫 島村公俊
1.現場に足を運んで得た情報を基に企画する
2.現場部門に、参加者の行動変容への責任を持たせる
3.研修を、職場ぐるみのOJTの場に変える
4.1年で完了する企画でなく、3年先を見据えた企画にする
Case4:三井住友銀行
研修転移の要諦は実践を組み込んだ研修プログラムにあり
Case5:ニコン
新入社員の第一歩を見守る「指導員制度」が研修転移のカギ
Case6:ビームス
月1回、半年繰り返すOJT研修の面談の効果
第3部 研修転移を促すための働きかけ
〈座談会〉 研修転移のカギを握る「上司巻き込み」のノウハウ公開