適応度地形
あくまで素人研究なので、指導を頂きたいです。
数理生物学分野で使われる考え方。よさの追求行為を山登りのイメージで例える。 参考
これ系のビジュアライゼーション、つぶつぶが地形上を駆けずり回る(= 表現型が個の一生の中で変化する)のではなく、個の位置は動かずその近傍にランダムに撒き散らすという考え方が多い
同様の考え方
Eric Raymondによる「オープンソース4部作」の一つ。
機械学習における探索空間
問題解決の「問題」が指すのが抽象的な最適化問題を含むのであれば、進化の適応度地形みたいな領域も含まれてきて、芸術もデザインも生物進化も問題解決を目指すデザインになる。 @pokarim 概要
この地形の緯度経度は、調整可能な特徴や形質、その地点での高さはよさの視覚的なメタファーを表現しています。地形の上を駆け回るつぶつぶは、よさの追求に明け暮れる個です。よさの定義は文脈によって変わります。生物の環境への適応、デザインにおける品質、企業の生産性など。つぶつぶが意味するものも、よさの定義によって変化します。先の例でいうと、順に生物個体、デザイナー、法人などが当てはまるのでしょうか。 3Dでは2つのパラメーターしか可視化することができませんが、世の中のよさの追求行為の多くは、天文学的な数のパラメータを扱わなければならないため、実際には数百万の軸からなる高次元空間上の地形を形成することになります。
ここで注意しないとけいないのは、つぶつぶそれぞれにとって地形の彼方まで見渡すことは難しいということです。濃い霧が立ち込めているような状態です。実際にその地点に立ち、自分の標高計で測った(=よさの評価をした)結果を地形図にプロットすることでしか、地形の全貌を把握することはできません。(『よさは経験的にしることができない』)つぶつぶ集団が十分に利他的であれば、お互いの標高データを突き合わせてより詳細な地形図を描くこともできます。また、標高の点群を曲線あてはめし、地形の形状を計算する式を導くこともできます。それがどの程度正確か保証はできませんか。 単峰性最適化モデル
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最初の例では、地形上のつぶつぶが坂を登ってよさを高めようとする様子が示されています。てんとう虫の習性にも似ています。この戦略は、よさの山が単独峰である場合に限って有効です。各つぶつぶはその近傍の斜面の上り方向に沿って移動し続しつづければ、いつか山頂に到達することができます。
多峰性最適化
てんとう虫戦略は、峰がいくつもあるときに有功ではありません。なぜなら、山の頂上だと思っていたところが、小さな丘にすぎない可能性が常にあるからです。これも視程の悪さゆえの難しさです。
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そのような局所解に陥らないためには、標高を下げ、あり得る他のより高い山を広域的に探し回る遊軍が必要です。
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探索空間の定義域の拡張
またその一方で、探索可能な地形の範囲自体が、何らかの要因で広がることも考えられます。技術革新や、ジャンル定義の拡張などがそのきっかけとなり得ます。
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探索空間の次元の拡張
探索空間の次元そのものが増えることも考えられます。「前後」しか知らなかったつぶつぶに、突然「左右」という方向が開けるイメージです。
「特殊化の果てにあるのは緩やかな死」
このように、各つぶつぶの挙動には、合理性とランダム性の2つの側面があります。つぶつぶは地形の全貌を知ることができないため、ひとまず高度を稼ぐためには、すぐ足元の高さを前後左右にサンプルして、傾斜が最も急な方向に慎重に踏み出すしか合理的な方法がないのです。グロースハックやA/Bテストなどの手法は基本的にこの戦略に分類されますが、進化の行き詰まりを招く恐れがあるため、常に危ういものとなっています。この脆弱さを補うのがランダム性です。人類の歴史において、偶然の発見やセレンディピティがいかに現状を打破してきたか...(書いてる途中)
さらに、地形は必ずしも静的なものではありません。時代とともに浸食されたり、持ち上げられたりするかもしれない。このような、いわゆる動的適応度地形においては、既知の山にとどまり続けることは、集団消滅の危機をもたらします。
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正のネットワーク効果(Density-dependent fitness landscape)
また、つぶつぶ自身が何らかの作用で地形に影響を及ぼすこともあります。例えば、つぶつぶがたくさん集まれば集まるほど、その場所には隆起する力が働くという正のフィードバックが考えられます。なだらかな丘陵地隊から発生した山は多くのつぶつぶを引き寄せ、それによってさらにその頂上は高く鋭くなるのです。このように、そこに集まるつぶが多いほど、さらにその場所がよくなるような現象を正のネットワーク効果と呼びます。 https://baku89.com/wp-content/uploads/2021/01/terrain_6.gif
例
メッセージングアプリのシェア獲得
デファクトスタンダードの形成
負のネットワーク効果
正のフィードバックだけでなく、負のフィードバックも考えられます。つぶつぶが密集している場所がウォーターベッドのように押し下げられ、そこにできた穴からつぶつぶが脱出しようとするのです。粒子同士の反発力のように働き、つぶつぶ開封は均一に配置されるまで移動し続します。
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例
オリジナリティを評価する文化
人気が出て混みすぎたサウナは満足度が低くなる
相互干渉モデル
現実の世界では、これらのメカニズムが複雑に絡み合い、つぶつぶと地形の相互作用を非常に混沌としたものにしています。
登山道の整備
以下のモデルは最近のAdobe製品がいかにデザイナーの発想を窮屈にさせているかを端的に表しています。ユーザーが自由に山地を彷徨うための登山具やオフロード車を提供するのではなく、流行と既知のスタイル(UI/UXのフラットデザインなど)の間の尾根に、軽装でも歩きやすい登山道を作ろうとしているのです。
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個体集団ごとに適応度地形の形が異なる
変異率(mutation rate)を高めずとも、つぶつぶがばらける条件。