第1期第2回「人間とはなにか──遊びから考えるヒトと動物の社会性」(2023-03-26)
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講義時間:243分
事前レポート
「ゲンロン・セミナー」第2回では、種としての「ヒト」に着目し、動物からヒト、ヒトから人間の姿を浮かび上がらせることで、古くて新しい「人間とはなにか」という問いを考えていきたいと思います。
第2回目の講義に参加するみなさんに宿題です!
「わたしたちヒトの特異性とはなんでしょうか?」
こちらの問いは講義の冒頭で会場のみなさんにディスカッションしていただく予定です。
山本先生の研究室ページなどを参考に
↓おもしろそうなのをピックアップ(ほかにもあります)
コインを拾い,自動販売機まで持っていき,入れて,ボタンを押す。彼らはこの一連の手続き自体はすんなりこなせる。ただし問題がひとつある。それは相手がいるということだ。部屋には2個体同時に入れられる。そのため,のんびりしていると相手にコインを全部取られてしまう。そこに相手との駆け引きが生じる。
おとな同士では,一度手の中に収まったコインに対してはいっさい干渉しない。たとえ優位な男性でも,女性が手に入れたコインを使ってリンゴを買うのをただ見ている。だが,母子では違う。たとえば子どもがコインを投入した直後に,母親がやってきて子どもを追い払う。
ところが,母子では違う結果になった。母子間では互恵性が成立しなかったのだ。母子ともにコイン投入をやめてしまった。つまり, 2人とも報酬を獲得することができなかった。
ペンデーサがこのような攻撃行動をみせたのは,ペンデーサとマリで,その日の投入枚数に差がみられたときだった。互いにコインを投入しあった日や,マリが投入しないがペンデーサ自身も投入しなかった日には,ペンデーサは攻撃しなかった。つまり,自分が協力しているにもかかわらず,お返しをしてくれない相手に対して「罰」を下したといえる。
今回の研究は,チンパンジーにも少なくともその認知的基盤がみられることを示している。さらに,筆者らがおこなった野生チンパンジーの研究からは,集団の常習的な道具使用行動である「地上でのアリ釣り」から新たな「樹上でのアリ釣り」を若い個体が創出し,さらに樹上アリの特性にあわせて道具の長さを改良したことが示唆された。
チンパンジーは競合的な社会を築いている。とくに隣接群とは熾烈な敵対関係にあり,時には集団間で殺し合いの戦争に発展することもある。そんなチンパンジーにとって,集団外の脅威に立ち向かうために集団で団結して協力する能力は必須である。それに対しボノボの社会関係は驚くほど平和だ。
2021年8月: 論文発表 (Ringhofer et al. 2021 Scientific Reports): ヒトに注意を向けるウマは、ヒトの知識状態に応じた指差しを理解する
2022年6月: 論文発表 (Martin, Muramatsu, and Matsuzawa 2022 Animals): 動物園で暮らす霊長類を対象としたポータブル式タッチモニタ装置とソフトウェアの開発・導入
2023年2月: 論文発表 (Muramatsu & Matsuzawa. 2023 Animals): チンパンジーにおけるタッチモニタ課題を用いた1から19の数系列学習:2桁のアラビア数字の処理
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