捕捉粒子
#用語解説
https://scrapbox.io/files/673d0e28baebe6c2ea8b6402.webp
chatGPT.icon
「捕捉粒子(trapped particle)」とは、プラズマ中の磁場構造によって特定の軌道に閉じ込められ、自由に移動できない粒子のことです。捕捉粒子は、トカマクや他の磁場閉じ込め装置でのプラズマ閉じ込めにおいて重要な概念であり、主に次の特徴を持ちます:
1. 磁場勾配とミラー効果:トカマクやプラズマ閉じ込め装置内では、磁場が位置によって強さを変えます。この変化が「ミラー効果」を引き起こし、磁場の弱い領域に進む粒子は、磁場が強い領域で反射されて戻ってきます。結果として、粒子は強い磁場領域と弱い磁場領域の間を振動するような運動(往復運動)をするようになります。このような運動をする粒子が「捕捉」された状態にあるため、「捕捉粒子」と呼ばれます。
2. ミラートラップ効果:捕捉粒子は、磁場の強い方向へ進むときに磁力線に沿って反射されるため、磁場構造の中に閉じ込められます。この現象は「ミラートラップ効果」とも呼ばれ、特にポロイダル方向の磁場において顕著です。ミラートラップによって捕捉粒子は特定の範囲内にとどまるため、閉じ込め効率が向上し、プラズマ中でエネルギーを効果的に維持できます。
3. トカマク装置での役割:捕捉粒子はトカマクなどの核融合装置において、エネルギー損失を抑える役割を果たします。電子サイクロトロン加熱(EC加熱)や他の加熱手法によって捕捉粒子が効率よく加熱され、閉じ込めが維持されやすくなるため、プラズマの持続性が高まります。
要するに、捕捉粒子とは、磁場によって反射運動をすることで特定の領域に閉じ込められた粒子であり、核融合装置でのエネルギー保持や加熱効率の向上に重要な役割を果たします。