RMP
#用語解説
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3D Physics and Pedestal Transport
この上下の黒いやつが、磁場摂動コイル
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RMP(Resonant Magnetic Perturbation、共鳴磁場摂動)は、トカマク型核融合装置において、外部から適用される磁場の摂動を指します。この磁場摂動を利用することで、プラズマの不安定性やエッジ局在モード(ELMs)、さらには破壊現象(ディスラプション)を制御する技術です。以下にRMPの詳細を説明します。
RMPの目的と役割
RMPは、核融合装置の安定な運転を妨げるプラズマ中の不安定性を制御することを目的としています。主に以下の役割を持っています:
1. 不安定性の抑制
プラズマ内部に存在する磁気島やエッジ局在モード(ELMs)などの不安定性を制御・抑制する。
破壊(ディスラプション)を防ぐことで、装置の安全性を確保。
2. エネルギー損失の低減
エッジの不安定性(ELMs)が引き起こす過剰なエネルギー損失を軽減する。
核融合炉の材料表面へのダメージを低減。
3. 破壊の予防
プラズマ内部のモード結合や高密度運転時の不安定性を制御することで、プラズマ破壊を予防。
RMPの仕組み
1. 磁場摂動の導入
RMPは、外部の制御コイルを使用して特定のモード(例: 2/1モード、3/1モード)に共鳴する磁場摂動をプラズマに適用します。
摂動磁場がプラズマ中の特定の安全係数(q値)を持つ面で共鳴し、プラズマ内部に影響を与えます。
2. 共鳴磁場による効果
磁場摂動が適切に調整されると、不安定な磁気島やモードの回転を変化させたり、成長を抑制することができます。
逆に、不適切な摂動は不安定性を悪化させる可能性もあります。
3. 制御対象
エッジ局在モード(ELMs): RMPによりエッジでのプラズマ剥離現象を抑制し、エネルギー損失を緩和。
磁気島: 磁気島の回転速度を制御し、成長を抑制または消失させる。
破壊現象: 複数のモードが結合する破壊前の状態を制御し、ディスラプションを回避。
RMPの実験例(J-TEXTトカマクの場合)
J-TEXTでは、RMPが破壊現象や密度限界の制御にどのように寄与するかが研究されています。
1. 破壊の回避
RMPを適用することで、2/1モードと3/1モードの結合を抑制。これにより、主要破壊を回避できることが確認されています。
2. 密度限界の向上
RMPを適用した場合、適用しない場合よりもプラズマの密度限界が向上しました。
RMPによりエッジの放射プロファイルや乱流を制御し、高密度運転が安定化されます。
3. 破壊予測の精度向上
RMPの適用により、プラズマ破壊に先立つ放射やMHDモードの変化が遅延し、破壊予測モデルの精度が向上しました。
RMPが適用されたプラズマでの破壊予測モデルの詳細な解析が行われています。
RMPの利点と課題
利点
不安定性や破壊を制御するための強力な手段。
プラズマ運転範囲を拡大し、密度限界やエネルギー閉じ込め時間を向上。
ITERやCFETRのような次世代核融合炉での実用化が期待される。
課題
適用する磁場摂動の強度や周波数の最適化が必要。
過剰な摂動は逆にプラズマ安定性を損なうリスクがある。
摂動がプラズマの乱流や輸送に与える影響の正確な理解が必要。
今後の展望
RMPは、ITERやCFETRのような大型核融合炉でのエッジ安定性制御の重要な技術として注目されています。さらに、RMPの適用方法や効果をより深く理解するためには、以下の研究が進められる必要があります:
1. 異なるRMP周波数や振幅がプラズマ全体の安定性に与える影響の詳細な研究。
2. 乱流輸送やプラズマ内でのエネルギー・粒子輸送の変化を高精度で測定する新しい診断装置の開発。
3. RMP適用後のプラズマ挙動を再現する高精度シミュレーションモデルの構築。
論文
エネルギー電子駆動トロイダルアルフベン固有モードの共鳴磁気摂動を用いた3D局所制御 - EAST トカマクにおける実験
本研究では、トカマク プラズマにおいて共鳴磁気摂動(RMP)を使用して、エネルギー電子によって励起されるトロイダルアルフベン固有モード(TAE)の3D局所制御に成功しました。RMP 印加前は TAE が全体に広がっていましたが、RMP 印加後は TAE が磁気島のX点付近で強化され、O点付近で減衰するという新しい現象が観測されました。この発見は、RMPを使ってエネルギー粒子の分布を制御し、それによってプラズマ中の高速粒子駆動不安定性を抑制できる可能性を示しています。