CFETR
https://www.researchgate.net/profile/Songlin-Liu-3/publication/350410497/figure/fig10/AS:1005842644074499@1616822982672/CFETR-2020-CAD-engineering-model-in-360-degree.png
chatGPT.icon
CFETR(China Fusion Engineering Test Reactor)は、中国が開発している核融合エネルギーの実証実験装置で、核融合エネルギーの商業化を目指して設計されています。CFETRは、ITER(国際熱核融合実験炉)とDEMO(将来の核融合発電デモンストレーション炉)の間の役割を果たすことを目的とし、ITERで得られた技術と知見を活用しながら、より高い出力と持続可能な運転の実現を目指しています。 CFETRの歴史的背景と開発の流れ
1. 核融合研究の黎明期
中国は、1950年代から核融合研究に着手しており、国家主導で核融合技術の開発を進めてきました。世界各国がトカマク型装置(ドーナツ型の磁場閉じ込め方式)に注目する中、中国も独自の装置の開発を始め、核融合分野での基礎研究を続けてきました。 2. EASTの建設と成功
2000年代初頭、中国は超電導トカマク型装置であるEAST(Experimental Advanced Superconducting Tokamak)を建設しました。EASTは、ITERの前段階として、持続的な高温プラズマの閉じ込め技術を試験するための実験炉で、世界初の全超伝導トカマク装置として注目を集めました。EASTでの成功は、中国が核融合エネルギー開発において世界の先端を担えることを証明し、CFETRの計画に弾みをつけました。 3. ITERプロジェクトへの参加
中国は、2006年に開始された国際的な核融合プロジェクト「ITER」に参加し、技術提供と人材育成を行っています。ITERは、核融合エネルギーの実現に向けた最大規模の国際協力プロジェクトであり、CFETRの技術開発においても大きな参考となるプロジェクトです。ITERで培った技術と知見が、CFETRの設計・開発において重要な役割を果たしています。 4. CFETR計画の開始
2010年代に入り、中国はCFETRの構想を発表しました。CFETRは、ITERとDEMO(商業炉のデモンストレーション装置)の間の「工学試験炉」として、より実用に近い条件での核融合運転とエネルギー回収技術を確立することを目的としています。具体的には、CFETRでは、持続的な運転(steady-state operation)や、核融合反応から得たエネルギーを電力として取り出す技術の実証が計画されています。 5. CFETRの設計と目標
CFETRの設計では、トカマク型装置が採用され、磁場閉じ込め方式によって高温プラズマを維持する仕組みが取られています。ITERでは10分程度の運転が目標とされていますが、CFETRでは数時間から数日の連続運転が可能な技術を目指しています。また、CFETRでは自己点火(プラズマ内での持続的な核融合反応)が可能な出力を達成し、核融合燃料の供給と反応生成物の除去を行うブランケット技術の試験も行われる予定です。これにより、CFETRは実際の発電炉としての技術基盤を整えることを目指しています。 6. 中国の核融合エネルギーへの長期的な展望
CFETRは、中国が2030年代後半以降に実用化を目指す核融合商業炉開発の重要なステップとなっています。中国は、このCFETRプロジェクトを通じて、核融合エネルギーの技術的な課題を解決し、最終的には商業レベルの発電を行うことを目指しています。また、CFETRは、国内のみならず、世界の核融合技術発展にも寄与し、将来的にエネルギー問題の解決や環境保護に貢献することを目指しています。
CFETRの意義
CFETRは、実験段階を超え、実際のエネルギー源として核融合を活用するための技術的なブレイクスルーを提供することが期待されています。この装置が成功すれば、核融合エネルギーの安定供給が可能となり、エネルギー安全保障や地球環境問題の解決にも大きく貢献できると考えられています。CFETRは、中国が世界のエネルギーリーダーシップを目指す中での重要なプロジェクトであり、持続可能なクリーンエネルギー源としての核融合の実現に向けた一歩を築いています。